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コラム

「知財・無形資産ガバナンス」の実践と普及に向けた取組み
第8回

フェロー
菊地 修(きくち おさむ)

本コラムでは、知財・無形資産経営者フォーラム、知財ガバナンス研究会、戦略法務・ガバナンス研究会創設の狙いについて、8回にわたってご紹介しています。
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おわりに

 グローバル経済やテクノロジー、企業やそれを取り巻く社会が大きく変革している現在にあって、改めて、知財部のミッションはなにか? 知財部員の役割はなにか? 如何なる目標で仕事をしているのか?を再認識することが重要だと思う。
 研究成果を特許出願すること、問題特許の公知例調査をすること、IPLによる分析結果を報告すること、契約で有利な条件を得ることなどは重要な業務だが、すべて目的ではなく、手段である。
 会社の組織や社員の活動目的は、会社を成長させること、すなわち売上や利益等の業績を向上させること、その上で、地球や社会に貢献し、ステークホルダーから評価されることである。
 この目的を達成するために、知財部門は、いかに貢献すべきか? どのようなことを実行すべきか? また、知財部員はどのような能力や人脈を獲得し、それをいかに活用するか?を、今改めて問い直すべきだと思う。このようなことを考えず、また考えても行動しない場合には、自分の居場所や部門の存在価値を失ってしまう可能性が高い。特に、VUCA(*1)と呼ばれる変化の激しい不透明な時代には、これまでの能力や知識・経験が役に立たなくなったり、生成AIに置き換えられてしまうことになる。
 「経営の神様」と呼ばれる松下幸之助氏は、著書「道をひらく」(*2)で、「全ての人には天から与えられた自分だけの道がある」と、また、本田宗一郎氏とともに町工場から「世界のホンダ」へと育て上げた藤澤 武夫氏は、著書「松明(たいまつ)は自分の手で」(*3)で、「大いなる志の松明を燃して独自の道を突き進め」と提唱されている。
 このように、他社や他人の動きを真似したり、自分と比較しているだけでは、自分自身や部門の価値を創造していくことはできない。自分たちが、会社を成長させるために、自ら今何をすべきかを考え、それを松明として掲げ、仲間を巻き込んで、行動していくことが求められる。このことは企業も同様で、海外の投資家から日本企業は、「他社を見比べ同じような取組みと開示をしている」との指摘を受けている。もっと自分のコア価値を見つめ直し、それに起因した独自の成長戦略を描いて実行し、その内容を情報発信すべきと期待が表明されている。
 そこで私たちは、日本企業は、知財・無形資産を駆使した経営を実践することで、新たな成長が期待できると考え、この知財・無形資産ガバナンス活動に取り組んでいる。戦後日本復活の原動力は、勤勉で有能な人財が生み出す知恵や情報、技術やノウハウ、優れた企業が創り出すブランドやバリューチェーンなど、すべて知財・無形資産だ。この価値ある知財・無形資産の創出に向け、日本企業が投資を行い、事業で活用し、競争力と成長力を確保し、高い収益をあげられるようにつなげていこう。  

 この志に共感して一緒に日本企業の価値を高める活動に取り組んで頂ける方は、ぜひ、以下のホームページから私たちにご連絡いただきたい。
 同じ志の仲間が、日本企業とスクラムを組んで、会社を成長させ、「知財で日本を元気に」して、子供や孫たちのために、誇り高き、夢のある日本をつないでいこう。

【知財ガバナンス研究会 ホームページ】
https://www.hrgl.jp/service/ipgovernance/
【知財・無形資産 経営者フォーラム ホームページ】
https://www.hrgl.jp/service/ipforum/
【戦略法務・ガバナンス研究会 ホームページ】
https://www.hrgl.jp/service/strategic-corporate-legal-and-governance-study-group/

(*1) Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとった略称で、不確実性が高く将来の予測が困難な状況をいう。
(*2) 「道をひらく」 松下 幸之助(著)PHP研究所(1968年)
(*3) 「松明(たいまつ)は自分の手で」 藤沢武夫(著)《元本田技研工業取締役最高顧問》PHP研究所(2009年)

koyama

HRガバナンス・リーダーズ株式会社
フェロー
菊地 修(きくち おさむ)

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