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コラム

サステナビリティ・ガバナンスについて⑥

HRガバナンス・リーダーズ プリンシパル
神山 直樹(こうやま なおき)

本コラムの振り返り

 これまで本コラムでは、第1回から第5回にかけて、弊社HRガバナンス・リーダーズ㈱CEO内ヶ﨑茂、元早稲田大学ビジネススクール教授の川本裕子先生、日本経済新聞社の渋谷高弘編集委員との共著である「サステナビリティ・ガバナンス改革」(日本経済新聞出版)の中身に沿いながら、それ以外の点についてもサステナビリティ・ガバナンスとは何ぞや、何をすればよいのかが少しでも明らかになるよう書いてきました。

 第1回では、「サステナビリティ・ガバナンス改革」の第10章「サステナビリティ・ガバナンスの未来像 ニューノーマルな社会における強靭な取締役会の意義(200ページ)」において、ローマ時代の政治家・法律家・哲学者であるキケロー(マルクス・トゥリウス・キケロー、前106~前43)の言葉を紹介し、そこに「サステナビリティ・ガバナンス」の要諦を見出すことが出来るとしたのでした。

 第2回では、UNEP FI(国連環境計画 金融イニシアティブ:United Nations Environment Programme Finance Initiative)の提唱した”Integrated Governance – A new model of governance for sustainability”が、現在のサステナビリティ・ガバナンスの理想形について述べたものであるということを書きました。

 第3回では、サステナビリティ課題に対するガバナンスの重要性ということで、TCFDが掲げる4つの開示基礎項目(ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標)を例にあげながら、サステナビリティ課題に対するガバナンスの重要性をお示ししました。環境省の資料においても、その重要性が明記されていました(参考:環境省21年6月「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の概要資料」5ページ)。その中では、「(気候関連の)リスク及び機会についての取締役会の監視体制を説明する」こと「(気候関連の)リスク及び機会を評価・管理する上での経営者の役割を説明する」ことが求められており、これは気候変動以外のサステナビリティ課題に対して同様であるということを書きました。

 第4回では、2021年のコーポレートガバナンス・コード改訂に伴い、取締役会で扱うべきボード・アジェンダについて体系化されてきたことを挙げ、その中には、サステナビリティ委員会が扱うべきであるパーパス、SDGs、環境的価値、社会的価値、マテリアリティ、長期ビジョン、サステナビリティ基本方針、サステナビリティ戦略などが含まれてきたことを書きました。また、マテリアリティ特定の参考として、ダボス会議の「グローバルリスク報告書」についても触れました。

 第5回では、第4回での「グローバルリスク報告書」の内容を2020年から遡って見通すことをおこないました。「今後2年間のリスク要因」にみられるように期間が短い場合、その時々の時代背景(感染症、インフレ、紛争、選挙など)に大きく影響を受けるため、次の中期経営計画や長期計画の策定なども見据えた際には、ダボス会議における「今後10年のリスク要因」も視野に入れておく必要があることを書きました。

 日本におけるサステナビリティ・ガバナンスの歩みは、まだ緒についたばかりです。弊社HRガバナンス・リーダーズでは、そのMissionに「企業のサステナビリティ・ガバナンスのエコシステムを構築する」と掲げています。日々のコンサルティング、論文、メールマガジン、セミナーなどを通じて、少しでも日本企業のサステナビリティ・ガバナンス向上に貢献したいと考えています。

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