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CGコード改訂で迎えるコーポレートガバナンス改革の新たなフェーズ
取締役会5原則を明確な運営基準として活用する企業は2割未満
~「2026年コーポレートガバナンス・サーベイ(CGサーベイ)」結果公表~
HRガバナンス・リーダーズ株式会社(代表取締役社長 CEO 内ヶ﨑 茂、 以下「HRGL」)は、この度、神田 秀樹 東京大学名誉教授、久保 克行 早稲田大学商学学術院教授、水口 剛 高崎経済大学学長 監修のもと、2026年コーポレートガバナンス・サーベイ(以下「CGサーベイ」)を実施しましたので、その結果概要を公表します。
本CGサーベイは、コーポレートガバナンス(以下「CG」)強化の要諦となる「取締役会」・「人的資本」・「指名」・「報酬」・「サステナビリティ」の各分野を本格的に網羅した国内で唯一の調査です。本年はプライム市場の大企業を中心とする約320社にご参加いただきました。
はじめに全体監修者の神田名誉教授からのコメントをご紹介します。
「2026年7月に公表された改訂版CGコードは、『稼ぐ力』の向上に向けたCG改革を新たな段階へ進める重要な契機となります。企業には、形式的なガバナンス体制の整備にとどまらず、自社の成長ストーリーに即した経営資源の最適な配分や、取締役会による実効的な監督・助言機能の発揮を通じての経営の後押しがこれまで以上に求められています。本サーベイが、各企業におけるCGの現在地を把握するとともに、持続的な企業価値向上に向けて取締役会および各種委員会での積極的な検討を深める一助となれば幸いです。」
1.主な調査結果
・ CGのグランドデザイン・取締役会5原則を取締役会・委員会・経営チームの議題設定、意思決定、経営評価・自己評価における明確な基準として活用していると回答した企業はいずれの機関設計においても20%以下にとどまり、実務への浸透は道半ば。
・ 取締役会・委員会・経営チームが明確な役割分担のもと相互に連携し、一体的なガバナンスが機能していると回答した企業は28%であった。一体的なガバナンスが機能していると回答した企業では、取締役会の主要な役割として「株主・投資家とのエンゲージメント」を挙げる割合が65%となり、その他の企業(48%)を17%pt上回った。この結果から、一体的なガバナンスが機能している企業ほど、株主・投資家とのエンゲージメントを取締役会の重要な役割として認識する傾向がみられた。
・ 指名委員会・報酬委員会の開催回数は双方とも増加傾向。指名委員会の審議事項のうち、社長・CEO後継候補者に対する「育成計画の策定」(40.8%、昨年比7.7%pt増)や「育成状況のモニタリング」(37.9%、昨年比5.9%pt増)等の実施が拡大。あわせて執行役・執行役員層においても後継者育成・管理の取組みが進展し、後継者計画の対象範囲が経営チーム全体へ広がりつつある。報酬委員会では、「業績連動報酬にかかる評価指標(KPI)(将来財務指標(非財務指標)含む)および目標」、「外部の有識者や調査機関の活用」「クローバック・マルス条項の設定」等の審議項目の実施が着実に上昇している。
・ 社長の総報酬額およびインセンティブ報酬(変動報酬)の構成比率は、直近3年間で増加傾向(いずれも中央値)。特に時価総額1兆円以上の企業群では総報酬額約2.2億円(昨年比約5.2%増)と昨年に引き続き着実に伸長している。また、全体における変動報酬比率は48.1%(同4.7%pt増)と堅調に増加している。
・ インセンティブ報酬の評価指標では、年次インセンティブにおいて個人評価(定量・定性)の採用が拡大。中長期インセンティブにおいてはROEの採用が首位になったことに加え、E(環境)指標「GHG排出量関連」やS(社会)指標「従業員満足度関連」など定量化しやすい将来財務指標(非財務指標)の採用も増加。
・ マテリアリティと経営戦略の統合状況は、長期の経営戦略への統合が4割未満、中期経営計画への統合が6割未満にとどまる。
2. 弊社コンサルタントのコメント
今回の結果について、HRGLのコンサルタントは以下のように述べています。
シニアコンサルタント 井之上 洋介
「稼ぐ力の強化に向けては、取締役会と経営チームがCGのグランドデザイン・取締役会5原則を共通言語として、それぞれの役割を果たしながら連携する実効的なCGの構築が重要です。一方、今回のサーベイ結果からは、CGのグランドデザイン・取締役会5原則は議題設定や議論の場面で一定程度活用されているものの、評価を含めた明確な判断・運営基準としてはまだ十分に活用されていない状況がうかがえます。また、取締役会と経営チームによる明確な役割分担と相互連携については発展途上にある状況が見受けられます。今後は、CGのグランドデザイン・取締役会5原則について共通理解を醸成するとともに、これらに関する議論を通じて定めた方向性を、議題設定、意思決定、評価などの具体的な運営に反映していくことが求められます。そのうえで、取締役会と経営チームの役割分担と連携を一層高度化し、価値創造の実現に向けた実効的なガバナンス体制を構築していくことが期待されます。」
シニアコンサルタント 清田 大介
「指名委員会における後継者計画に関する議論は、候補者の選定を中心とした段階から、育成計画の策定、育成状況のモニタリング、アセスメントの実施を含む継続的な育成・管理の段階へと発展しつつあります。また、その対象も社長・CEO後継者にとどまらず、経営チーム全体へと広がる傾向が見られます。今後は、後継者育成の実効性をさらに高める観点から、候補者の選抜のみならず、育成・評価・登用までを一体的に捉えたサクセッションプロセスの高度化を進めていくことが求められています。」
マネージャー 西本 優太
「役員報酬は、企業の価値創造ストーリーの実現を後押しできる仕組みとして設計・運用されることが重要です。今回の結果では、インセンティブ報酬の活用が一層進展するとともに、業績指標に加えて個人ごとの目標に対する成果や将来財務指標を評価体系に取り入れる動きが広がっていることが確認されました。報酬ガバナンスのさらなる高度化に向けては、企業の中長期戦略と報酬KPIとの連動性を高めることに加え、報酬委員会による実効的な議論や投資家との建設的な対話を通じて、報酬決定プロセスの透明性と説明力を一層向上させていくことが重要になると考えます。」
コンサルタント 石丸 萌
「マテリアリティを長期戦略や中期経営計画へ統合する企業は未だ限定的でした。マテリアリティは本来、将来の成長機会や事業リスクとして企業価値に影響を及ぼす課題を示すものであり、それらを踏まえて戦略を策定することは、中長期的な企業価値向上につなげるために重要であると考えられます。取締役会においては、マテリアリティを決定し、それらに係る議論を継続するとともに、マテリアリティ解決に係る戦略のモニタリングを行うことが肝要と思料します。」
■HRGLウェビナー「2026年コーポレートガバナンス・サーベイ(CGサーベイ)結果報告会 ~改訂版CGコードを起点とした『稼ぐ力』強化のためのコーポレートガバナンス改革の最新潮流~」のご案内はこちら
3. 調査結果
(1) 領域横断
実効的に機能するCGの構築には、自社の目指すCGの在り方を描いたグランドデザインに基づき、一貫した取組みを進めることが重要です。グランドデザインを描く際は、「『稼ぐ力』を強化する取締役会5原則」(以下「取締役会5原則」という。)を参考にすることが考えられます。今回のサーベイでは、「CGのグランドデザインおよび取締役会5原則が、取締役会・委員会・経営チームの議題設定や意思決定にどの程度活用されているか」について確認しました。その結果、「議題設定、意思決定、経営評価・自己評価に至るまで明確な基準として一貫して活用されている」と回答した企業は、いずれの機関設計においても20%以下とどまり、実務への浸透は十分でないことがうかがえます。ただし、指名委員会等設置会社においてより活用が進んでおり、機関設計による差もみられました。監督と執行の分離を前提とする指名委員会等設置会社では、自社が目指すCGの在り方を明確化し、実効性の高いガバナンスの構築を志向する企業が比較的多いことが要因と推察されます。
図表1 CGグランドデザイン・5原則活用状況

(2) 取締役会領域
■取締役会の役割
取締役会、経営チーム、指名・報酬・監査等の各委員会における役割・責任分担および相互連携の整理状況について見ると、「取締役会・経営チーム・各委員会が明確な役割分担のもとで相互に連携し、価値創造に向けた一体的なガバナンスが機能している」と回答した企業は全体で28%となりました。機関設計別では、指名委員会等設置会社では50%に上り、監査等委員会設置会社の28%、監査役会設置会社の25%を上回る結果となりました(図表2左表)。
前述の一体的なガバナンスが機能していると回答した企業では、「株主・投資家とのエンゲージメント」を取締役会の主要な役割として挙げる割合が65%で、その他の企業の48%を17%pt上回りました。一方で、「業務執行に関する意思決定」を主要な役割として挙げる割合は73%であり、その他の企業の83%を10%pt下回りました(図表2右表)。
図表2 取締役会等の役割分担と取締役会の主要な役割

(3) 指名領域
■後継者計画の実施状況
直近2年連続して本サーベイに参加している169社(指名委員会設置済)を対象に分析したところ、指名委員会の平均開催回数は2026年では6.2回となり、2025年の6.1回からわずかに増加しました。
また、同169社における指名委員会での後継者の審議状況を見ると、社長・CEO後継候補者に対する「候補者・人財プール対象者の育成計画の策定」は40.8%(昨年比7.7%pt増)、「候補者・人財プール対象者の育成策の実施・展開」は29.0%(昨年比4.1%pt増)、「候補者・人財プール対象者の育成状況のモニタリング」は37.9%(昨年比5.9%pt増)、「候補者・人財プール対象者の評価・アセスメントの実施」は36.1%(昨年比7.1%pt増)となりました。いずれの項目も前年から増加しており、社長・CEO後継候補者の育成を計画的かつ継続的に管理する企業が増加していることが確認されました。
一方、執行役・執行役員の後継候補者においても、「候補者・人財プール対象者の育成計画の策定」が17.8%(昨年比5.9%pt増)、「候補者・人財プール対象者の育成策の実施」が14.2%(昨年比4.7%pt増)、「候補者・人財プール対象者の育成状況のモニタリング」が17.2%(昨年比3.6%pt増)、「候補者・人財プール対象者の評価・アセスメントの実施」が17.8%(昨年比4.7%pt増)となり、各項目で前年を上回る結果となりました。社長・CEO後継候補者と比較すると実施割合は低いものの、経営チーム全体を対象とした後継者育成・管理の取組みは広がりつつあることが確認されました。
図表3 社長・CEOの後継者計画における実施事項

※複数選択、N=169社
図表4 執行役・執行役員の後継者計画における実施事項

※複数選択、N=169社
(4) 報酬領域
■報酬委員会の運営状況
直近3年連続して本サーベイに参加している244社(報酬委員会設置済)を対象に報酬委員会の審議事項を集計しました。最も多く挙げられた「報酬水準・構成(MIX)」をはじめ、「業績連動報酬にかかる評価指標(KPI)(将来財務指標含む)および目標」は8割以上の企業が、「報酬額を決定するための算定式(フォーミュラ)」は7割以上の企業が審議していました(図表5)。「ピアグループの選定」(29.9%)は、審議する企業は3割程度であるものの、3年連続で増加しました。他方、「定性評価(個人評価)(評価方法含む)」(54.9%)は2024年比で7.4%pt減少し、「投資家とのエンゲージメント・開示方針」も2割以下で停滞しています。なお、報酬委員会の開催回数をみると、2026年の平均値は5.3回であり、2024年の4.9回、2025年の5.1回から徐々に増加しています。
図表5 報酬委員会の審議事項

※複数選択、N=244社
※2025年は「定性評価(個人評価)(評価方法含む)」の定義を変更している
■社長 報酬水準
直近3年連続して本サーベイに参加している企業において、2026年の社長の総報酬額(中央値)は9,730万円でした。時価総額別に総報酬額(中央値)の推移をみると、すべての企業群で増加傾向がみられました(図表6)。昨年は、「1兆円以上」の企業群で総報酬額が2億円を超えたことは印象的でしたが、本年は「5,000億円以上1兆円未満」の企業群で1億1,840万円となっており、昨年比9.4%増と最も増加しました。
図表6 社長 総報酬額(中央値)(時価総額別)

※N=243社
総報酬額が増加した要因の1つに変動報酬額の上昇が挙げられます。総報酬額における変動報酬額(賞与等の年次インセンティブと株式報酬等の中長期インセンティブの和)の比率をみると、「1,000億円未満」の企業群においてはほぼ横ばい状態でしたが、それ以外の企業群ではいずれも上昇傾向にありました。特に「1,000億円以上5,000億円未満」の企業群においては昨年比2.6%pt増と最も大きく増加しており変動報酬比率は4割を超えています(図表7)。中規模の上場企業でも変動報酬比率が着実に上昇していることがうかがえます。
図表7 社長 変動報酬比率(時価総額別)

※N=243社
■インセンティブ報酬制度における評価指標(KPI)の採用状況
直近3年連続して本サーベイに参加している244社を対象に、年次インセンティブおよび中長期インセンティブの報酬額の決定における評価指標(KPI)を集計しました。年次インセンティブでは、営業利益、当期純利益、売上高、自己資本利益率(ROE)の採用数には大きな変化がない一方、昨年増加したS(社会)指標「従業員満足度関連」の採用数は減少しました。他方で「定性評価(個人評価)」の採用数が増加し、大きく順位を上げました。また、中長期インセンティブでは、売上高の採用数が大きく後退する一方で、E(環境)指標「GHG排出量関連」、S(社会)指標「従業員満足度関連」などの定量評価しやすい将来財務指標(非財務指標)の採用数が増加しました。加えて、欧米企業において比較的多く採用されている、株主価値を表す指標であるTSR(株主総利回り)の採用も増加がみられました(図表8)。
図表8 インセンティブ報酬制度における評価指標(KPI)採用状況

※N=244社
※取締役、執行役のいずれかの評価指標に採用していると回答した企業を集計している。
※2026年の「定性評価(個人評価)」は「個人評価(定量・定性)」という項目を読み替えている。
(5) サステナビリティ領域
■経営戦略におけるマテリアリティの統合状況
2026年にサステナビリティ領域のサーベイに参加した98社を対象にマテリアリティと経営戦略の統合状況を調査した結果、「中期経営計画へ統合」が58.2%と最も高く、次いで「長期の経営戦略策定において統合」が39.8%でした。一方、「長期的な全社リスク管理やコンプライアンス管理に統合」は31.6%、「投資判断(事業、R&D、M&A、人財等)において統合」は19.4%にとどまりました。
図表9 経営戦略におけるマテリアリティの統合状況)

※複数選択、N=98社
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2026年コーポレートガバナンス・サーベイ 概要
サーベイ期間:2026年7月~2026年8月
参加企業数: 319社
コーポレートガバナンス・サーベイ(CGサーベイ) | HRガバナンス・リーダーズ株式会社
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HRGLウェビナー「2026年コーポレートガバナンス・サーベイ結果報告会 ~改訂版CGコードを起点とした『稼ぐ力』強化のためのコーポレートガバナンス改革の最新潮流~」上記を含む詳細報告について、2026年10月29日(木)にウェビナーを開催いたします。
https://www.hrgl.jp/info/info-15729/
【HRガバナンス・リーダーズ株式会社 概要】
設 立 :2020年4月(事業開始:2020年10月)
所在地 :〒100-0005 東京都千代田区丸の内1-4-5
代表者 :代表取締役社長 CEO 内ヶ﨑 茂
事業内容:ボード(取締役会)ガバナンスコンサルティング
指名ガバナンスコンサルティング
報酬ガバナンスコンサルティング
サステナビリティガバナンスコンサルティング
コーポレートセクレタリー
経営執行(経営執行体制構築・サステナビリティ経営・執行役員制度改革)支援
上記コンサルティングに関する商品開発および調査研究・オピニオン発信
信託代理店業務
URL :https://www.hrgl.jp/
<本件に関するお問い合わせ先>
HRガバナンス・リーダーズ株式会社
広報担当: cbc_team@hrgl.jp
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