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ダイバーシティに関する取組みの開示企業は約9割
サクセッション・次世代リーダー育成等の開示率も上昇
~TOPIX100社の有価証券報告書における人的資本関連情報の開示状況調査~
HRガバナンス・リーダーズ株式会社(代表取締役社長 CEO 内ヶ﨑 茂、 以下 「HRGL」)は、有価証券報告書における人的資本の開示内容に関する調査を行いましたので、結果を公表いたします。
本調査では、TOPIX100構成企業の有価証券報告書における記載内容を分析し、ダイバーシティ関連指標の実績値の状況、人的資本関連の戦略および具体的な取組みに関する開示状況、取組みの進捗を測る指標および目標の開示状況、人的資本の諸課題に対応するガバナンス体制等を分析しています。
【調査実施目的】
- 2023年から有価証券報告書において開示が義務化された人的資本の項目について、現在の開示状況および3年間での開示状況の変化を明らかにする
【調査対象企業】
【主な調査結果】
- 有価証券報告書において開示が義務化されている女性管理職比率、男性の育児休業取得率、男女間賃金差異(以下、「ダイバーシティ3指標」という。)の実績値(平均値)は、3指標すべてにおいて年々増加し、特に男性の育児休業取得率は3年間で10pt以上増加と伸び幅が大きい
- 人的資本の戦略における具体的取組みの記載状況をみると、「ダイバーシティに関する取組み」が9割近くと最も多く、次いで「従業員エンゲージメントに関する取組み」、「全社向けの採用・育成等の取組み」が8割を超えている。また、「サクセッション・次世代リーダー向けの育成等の取組み」、「パーパス・ビジョン・経営戦略等の従業員への浸透に関する取組み」は、3年間での増加率がどちらも約8倍と大きく増加している
- 人的資本の指標と目標の開示状況をみると、「従業員へのパーパス・ビジョン・経営戦略等の浸透に関する指標」、「ダイバーシティ関連の取組みに関する指標」、「人件費、人材投資額等に関する指標」が、3年間でそれぞれ約3倍、約2.0倍、約1.9倍と特に増加率が大きい
- 人的資本の諸課題に対応するガバナンス体制の開示状況をみると、人的資本全般および特定のテーマの議論に特化した会議体を設置している企業、ならびにCHRO又はその機能を設置している企業は、いずれも年々増加している
■開示義務3指標(ダイバーシティ3指標)の開示状況
有価証券報告書において開示が義務化されているダイバーシティ3指標の実績値(平均値)は、3指標いずれにおいても年々増加しています(図表1)。特に、男性の育児休業取得率は、調査対象全企業、3年連続集計可能企業ともに3年間で10pt以上増加し、70%台後半に達しました。一方、女性管理職比率および男女間賃金差異は微増となっています。
(図表1)ダイバーシティ3指標の実績値(平均値)(2023~2025年)
女性管理職比率について、連結ベースで開示を行う企業の割合を調査したところ、国内子会社を対象とした数値の開示を行う企業は、調査対象全企業、3年連続集計可能企業ともに年々増加しており、3割台に達しました(図表2)。一方、海外子会社を含む数値を開示する企業は2割以上存在するものの、前年比で微減もしくは横ばいとなっています。
(図表2)女性管理職比率の実績値の開示割合(2023~2025年)
■人的資本の戦略に関する開示状況
人的資本の戦略について、人材戦略の考え方への言及および人材育成や社内環境整備に関する具体的取組みの記載状況をみると、職場環境整備に関連する「ダイバーシティに関する取組み」が9割近くと最も多く、次いで「従業員エンゲージメントに関する取組み」、人材育成に関連する「全社向けの採用・育成等の取組み」が8割を超えています(図表3)。3年連続で増加している項目において、3年間の増加率に着目すると、「サクセッション・次世代リーダー向けの育成等の取組み」は約1.8倍、「パーパス・ビジョン・経営戦略等の従業員への浸透に関する取組み」は約1.8倍、「従業員エンゲージメントに関する取組み」は約1.4倍と特に大きく増加しています。
(図表3)人的資本の戦略に関する開示状況(2023~2025年)
■人的資本の指標と目標に関する開示状況
人的資本の指標と目標の開示状況をみると、職場環境整備に関連する「ダイバーシティの状況を表す指標(女性)」を開示する企業が7割超と最も多く、次いで「従業員エンゲージメント・スコア」を開示する企業が6割を超えています(図表4)。3年間での増加率に着目すると、「従業員へのパーパス・ビジョン・経営戦略等の浸透に関する指標」、「ダイバーシティ関連の取組みに関する指標」、「人件費、人材投資額等に関する指標」を開示する企業が、3年間でそれぞれ約3.3倍、約2.0倍、約1.9倍と特に増加率が大きくなっています。
(図表4)人的資本の指標と目標に関する開示状況(2023~2025年)
■人的資本のガバナンスに関する開示状況
人的資本の諸課題に対応するガバナンス体制をみると、人的資本全般および特定のテーマの議論に特化した会議体を設置している企業、ならびにCHRO又はその機能を設置している企業は、いずれも年々増加しています(図表5)。翻って、人的資本について議論する会議体やCHROについての記載がない企業は減少し、約4割となりました。
(図表5)人的資本のガバナンスに関する開示状況(2023~2025年)
本調査の結果について、HRGL代表取締役社長 CEO 内ヶ﨑 茂は次のように述べています。「2023年の人的資本開示の義務化以降、特に従業員総活躍の文脈でのダイバーシティ推進、従業員エンゲージメント向上の取組みが着実に進展している。加えて、サクセッション・次世代リーダー向けの育成等の取組みを推進・開示する企業が増加しており、次期後継者候補や次世代リーダーへの人的資本投資を通じた管理職層の資質・能力等の高まりが、従業員の活躍を生かす企業文化の醸成や環境整備につながり、企業価値向上への好循環を創出していくことが考えられる。また、人的資本経営のガバナンス体制では、取締役会で人的資本経営に関する基本方針を定めて経営チームに権限委譲し、CEOとCHROが中心となって人材開発委員会を設置するなど、監督と執行の両輪の体制を整備することが求められる。過去3年間の調査結果において、人的資本に関連した会議体やCHROの設置をはじめとした体制強化を進めている企業が増加しており、今後も全社的な取組みやモニタリング体制を確立することで人的資本経営の実効性を高め、「稼ぐ力」を強化する企業が増えることが期待される。」
HRGLは、今後も強靭な取締役会を起点としたサステナビリティ経営の実現に向けて、クライアント企業の多様なニーズにお応えし、企業の成長ストーリーをともに描く、コーポレートガバナンスの“かかりつけ医”としての役割を担ってまいります。
【HRガバナンス・リーダーズ株式会社 概要】
設 立 :2020年4月(事業開始:2020年10月)
所在地 :〒100-0005 東京都千代田区丸の内1-4-5
代表者 :代表取締役社長 CEO 内ヶ﨑 茂
事業内容:サステナビリティガバナンスコンサルティング
ボードガバナンスコンサルティング
指名・人財・報酬ガバナンスコンサルティング
サステナビリティ経営・人的資本経営コンサルティング
上記コンサルティングに関する商品開発および調査研究・オピニオン発信
信託代理店業務
URL :https://www.hrgl.jp/
■Appendix
Appendix 1:指標と目標の事例
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