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ニュースリリース

米国は「CEO経験」「リーダーシップ」を重視、 日本は「企業経営」など抽象度の高いスキル項目が目立つ
~日米欧スキル・マトリックス調査 結果公表~

 HRガバナンス・リーダーズ株式会社(代表取締役社長CEO 内ヶ﨑 茂、 以下 「HRGL」)は、日米欧のスキル・マトリックスに関する調査を行いましたので、その結果を公表いたします。
本調査では、日本、米国、英国、フランス企業の取締役会等におけるスキル・マトリックスおよび米英仏企業の性別・国籍・民族に関するダイバーシティの開示状況について調査しています。

【調査実施目的】

  • 日本企業と米英仏企業の取締役会のスキル・マトリックスを比較し、求められるスキルや経験の内容およびスキル・マトリックスの位置付けを明らかにする
  • 米英仏企業の取締役会の性別・国籍・民族の開示状況を調査し、ボードダイバーシティのグローバルスタンダードを示す
  • 上記調査結果から今後の取締役会の構成の検討の在り方についての視座を提供する

【主な調査結果】

  • 米国では企業経営について「社長・CEO経験」や「取締役経験」、「リーダーシップ」の経験などより具体的なスキルを設定しており、その企業割合はそれぞれ35%、35%、62%。他方で、日本では抽象度の高い「企業経営」をスキルとして置く企業が87%と大多数を占める。
  • 「財務・会計」「技術・IT・デジタル」はいずれの国も多くの企業でスキル・マトリックスの中の1つに位置づけている。「財務・会計」に加えて、英国や米国では「金融・資本市場・M&A」に関するスキルを約半数の企業が置いている。
  • 米英仏企業では「コーポレートガバナンス」をスキルとして置く企業が多く、最も多いフランスでは半数近くの企業でスキルとして採用している。
  • 「サステナビリティ・ESG・CSR」に関するスキルは、フランスが90%と最も多く、次いで英国が70%、日本が66%だった。
  • 米国では各スキルの定義や選定理由の説明を65%と多くの企業で記載している。
  • 米英仏では取締役会の女性割合は30%を超えており、特に、英国とフランスでは40%を超えている。国籍や民族の開示および多様化も進んでいる。

<調査実施概要>

【調査対象】

  • 日本:JPX400に選定されている397社(2023/6末時点)
     ※スキル・マトリックスの開示がある企業387社
  • 米国:S&P500のうち時価総額上位109社(2023/1末時点)
     ※スキル・マトリックスの開示がある企業100社
  • 英国:FTSE350のうち時価総額上位145社(2023/1末時点)
     ※スキル・マトリックスの開示がある企業100社
  • フランス:CAC40とCAC Next20(2023/1末時点)
     ※スキル・マトリックスの開示がある企業49社

【調査方法】

  • 日本:株主総会招集通知(2023/6末時点)を調査。株主総会招集通知から調査できない場合、コーポレートガバナンス報告書又は統合報告書を調査。
  • 米国:Proxy Statement(FY2022)を調査。
  • 英国:Annual Report(FY2022)を調査。
  • フランス:Annual Report(FY2022)を調査。

■スキル・マトリックス

 各国のスキル・マトリックスを構成するスキルについて、各スキルの名称から22種類のスキルに分類・集計しました。この分類を基に各国におけるスキルの内容を紹介します。

 図表1では、社長・CEO等の経験、リーダーシップ、企業経営等のビジネス全般について示しています。
 米国では、「社長・CEO経験」や「取締役経験」、「リーダーシップ」を有することがわかるスキル名を置く企業が多く、それぞれ35%、35%、62%となりました。他方で、日本は「企業経営」というスキル名を置く企業が87%と大多数を占めます。「企業経営」の中には、企業トップ等の経験を有することを条件としている企業もありますが、そのような例は少数であり、実質的にも他国に比べ、社長・CEO経験等を有する取締役は少ないことがうかがえます。
 また、英国では、米国より割合は低いものの、米国と同様に「社長・CEO経験」や「リーダーシップ」を置く企業が比較的多く、また「企業戦略」が51%と他国に比べ、高い傾向にあります。フランスは日本ほど顕著ではありませんが、「企業経営」が59%と高く、米英に比べると「社長・CEO経験」「リーダーシップ」が低く、比較的日本に似た傾向がみえます。

【図表1】各国のスキル比較(1)社長・CEO経験、リーダーシップ、企業経営等

 図表2はコーポレート部門に関するスキルについてです。
「財務・会計」はいずれの国もほとんどの企業で置いていますが、加えて、海外では「金融・資本市場・M&A」というスキルを置く企業が日本より高く、特に英国では59%、米国では49%と約半数の企業で置いています。
 また、「コーポレートガバナンス」も日本に比べ、海外の方が多くの企業でスキルとして認識されており、最も高いフランスでは半数近い企業でスキルとして置いています。同様のスキルとして「法務・リスク」が考えられますが、日本ではそのスキルを置く企業が多く、「コーポレートガバナンス」の割合が低くなる国ほど、「法務・リスク」が高くなっています。
 次に「営業・マーケティング」と「消費者・顧客」をみると、日本では「営業・マーケティング」を置く企業が64%と多くなっています。海外では「営業・マーケティング」を置く企業は日本ほど多くありませんが、「消費者・顧客」のスキルを置く企業が一定数存在し、最も多い英国では34%となりました。

【図表2】各国のスキル比較(2)人事・総務、財務・会計、法務・リスク、営業、海外等

 図表3はR&D・新規事業、サステナビリティ、行政、他では分類されないような関連業界、その他についてです。
 「技術・IT・デジタル」は「財務・会計」に次いでいずれの国でもスキルとして置く企業が多く、特に、米国では93%、フランスでは90%の企業で「技術・IT・デジタル」を置いています。
 次に、「R&D・新規事業」をスキルとして置く企業は日本では半数以上存在し、米国や英国に比べ多くなっています。他方、「関連業界」とは他分類には当てはまらない当該企業に関連する事業が属する業界における経験やスキル等を分類しておりますが、海外ではこの「関連業界」をスキルに置く企業が高く、より細かな業界に関する経験やスキルの言及が多いことがわかりました。
 「サステナビリティ・ESG・CSR」に関するスキルについては、フランスが90%と最も多く、次いで英国の70%、日本の66%となっています。米国では「行政・NGO・NPO」に関するスキルを置く企業が68%と他国ではみられない特徴を有しています。

【図表3】各国のスキル比較(3)R&D・新規事業、サステナビリティ、行政等

 「最後に、各スキルの定義や選定理由の有無を調べたところ、米国では多くの企業でスキルの定義等の説明が記載されており、次に割合の高い日本(21%)の約3倍の65%に上ります(図表4)。

【図表4】スキルの定義の有無

■ダイバーシティ(ジェンダー、国籍、民族)

 米英仏企業の取締役会における女性割合については、上場規則またはクオータ制で40%を定めている英国とフランスはそれぞれ42%、40%、米国ではナスダックの上場規則で少なくとも女性1人を登用するよう定められており、女性割合は34%と、日本の女性割合に比べ高い水準にあります(図表5)。
 また、国籍、民族のダイバーシティの開示状況をみてみると、米国では民族について98%の企業が、英国では国籍について45%、民族について72%の企業が、フランスでは国籍について98%の企業が開示されていました。ナスダック上場規則では、前述の女性1人に加え、LGBTQ+または少数民族の者を1人以上登用することが義務付けられている背景もあり、白人以外の割合が25%となっています。

【図表5】取締役会のジェンダー・国籍・民族のダイバーシティの状況

(注)女性割合の開示率はフランス企業1社を除きすべての企業で開示。日本企業の女性割合は監査役も含む。

 本調査の結果について、HRGL代表取締役社長CEO 内ヶ﨑 茂は次のように述べています。
「CGコードにおいてスキル・マトリックスの開示について言及されて約3年経ち、日本企業でもスキル・マトリックスの開示から活用への進化を遂げている。取締役会の構成を考える上で、スキル・マトリックスの在り方・実効性について改めて考える時期に来ていると感じる。今回の調査の結果、米国企業を中心に、海外では「社長・CEO経験」や「取締役経験」など、より具体的な経営の執行や監督の経験を求めるケースが多いことが判明し、日本企業ではそのような人財の登用や育成への課題が浮き彫りとなった。これには国内での人財育成が急務であるほか、海外では取締役会の国籍・民族のダイバーシティも進む中、グローバル企業として強靭な取締役会構成を実現する上で、海外人財活用の検討を進めるべきと感じる。また、企業経営やR&D・新規事業などにみられる抽象度の高いスキルを設定するのも日本企業の特徴として見受けられた。なお、欧米では、近年、属性・専門性のスキルを活かすための資質を示すコンピテンシーマトリックスの重要性が主張されている。また、経営戦略を示すスキル・マトリックスの詳細を開示しない企業も現れている。このような背景も参考に、各企業において、中長期の経営戦略(サステナビリティ戦略)や事業・人財戦略(ポートフォリオ改革)など取締役会でアジェンダとなる議題を議論できるメンバーで構成されるためにも、自社の経営戦略やマテリアリティ(重要課題)に基づく説明力のあるスキル・マトリックスを設定し、それによる取締役の選定が指名委員会主導で進むことを期待したい。」

 HRGLは、今後も強靭な取締役会を起点としたサステナビリティ経営の実現に向けて、クライアント企業の多様なニーズにお応えし、企業の成長ストーリーをともに描く、コーポレート・ガバナンスの“かかりつけ医”としての役割を担ってまいります。

【HRガバナンス・リーダーズ株式会社 概要】
設 立 :2020年4月(事業開始:2020年10月)
所在地 :〒100-0005 東京都千代田区丸の内1-4-5
代表者 :代表取締役社長 CEO 内ヶ﨑 茂
事業内容:サステナビリティガバナンスコンサルティング
     戦略・リスク・監査ガバナンスコンサルティング
     指名・人財ガバナンスコンサルティング
     指名・報酬ガバナンスコンサルティング
     上記コンサルティングに関する商品開発および調査研究
     信託代理店業務

URL :https://www.hrgl.jp/

<本件に関するお問い合わせ先>
HRガバナンス・リーダーズ株式会社
広報担当: cbc_team@hrgl.jp

■Appendix

Appendix 1:スキル・マトリックスの概要(開示率・スキル数の平均等)

(注1)取締役会等の平均人数は調査企業全体の平均人数である。日本においては監査役も含む。

Appendix 2:日本企業のスキル・マトリックスの対象範囲

Appendix 3:スキル・マトリックスのスキル分類における主なキーワード

(注1)各スキルの名称からキーワードに基づき分類。

(注2)スキル1つに複数分類に関係する名称の場合、それぞれカウントされる場合がある(例えば、「人事・総務・法務」の場合、「人事・総務」と「法務・リスク」にカウント)。企業のスキル・マトリックスによっては同一のスキル分類が複数カウントされることがあるが、図表1~3においては各企業がそのスキル分類を有するか否かで集計。

(注3)「関連業界」「その他」などに該当するスキルを中心に、スキルの名称一つひとつを確認し、上記キーワードには掲載されていない場合でも分類を行っている。

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