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ニュースリリース

ROICの目標値、実績値を開示する企業は17%、21%と前年より増加
-TOPIX100構成企業を対象としたROIC、資本コスト指標の開示状況調査 結果公表-

HRガバナンス・リーダーズ株式会社(代表取締役社長 CEO 内ヶ﨑 茂、 以下 「HRGL」)は、TOPIX100の構成企業の資本効率性指標、資本コストに関する開示状況の調査を行いましたので、調査結果を公表いたします。

【調査実施の背景と目的】

  • 中長期的な企業価値向上を実現するにあたり、資本効率性の改善および資本コストを意識した経営について、コーポレートガバナンス改革の一環で議論される機会が近年増えている。2018年のコーポレートガバナンス・コードの改訂において自社の資本コストの的確な把握が要請されたほか、2021年の再改訂では取締役会において決定された事業ポートフォリオの基本的な方針や見直しの状況について、分かりやすく示すことが求められている。また、2020年に経済産業省が公表した「事業再編実務指針~事業ポートフォリオと組織の変革に向けて~」においては、ROIC(投下資本利益率)など事業セグメントごとの資本収益性について、具体的な定義を明示した上で、その実績値と目標値を開示することが望ましいと示されている。直近では、2022年5月に金融庁が実施した「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」で、現預金として積み上がった内部留保の有効活用について議論がなされている。
  • 企業側が想定する資本コストについて、機関投資家が情報開示を求めるケースもみられる。事業経営のステージに応じた情報開示の充実は、企業の資本市場からの適切な評価につながることが期待される。資本効率性、資本コストに関する開示の現況を明らかにすることは、ROIC経営、資本コスト経営の日本企業への浸透度合いを測るメルクマールになると考え、本調査を実施した。

【調査対象】

  • 2021年10月末時点、2022年10月末時点でのTOPIX100の構成企業

【調査方法】

  • 各社公表資料(統合報告書、中期経営計画、有価証券報告書)における、対象事業年の記載を調査

【主な調査結果】

  • 全社でのROICの目標値、実績値を開示している企業の割合は、それぞれ17%、21%と前年に比べて増加傾向にある。一方で、セグメント別でROE、ROICの実績値を開示している企業は8%と前年と同じ水準にとどまった。
  • 企業の想定する資本コストを開示している企業は17%と、前年よりもわずかに増加している。内訳をみると、株主資本コストを開示している企業の割合は10%、加重平均資本コストを開示している企業の割合は9%であった。

■ROIC(投下資本利益率)の開示状況

 全社でのROICの目標値、実績値を開示している企業の割合は、それぞれ17%(前年比2ポイント増)、21%(同6ポイント増)でした。一方で、セグメント別でROE、ROICを開示している企業は8%にとどまり、前年から開示状況に変化はありませんでした。

(図表1)ROIC・ROE指標の開示状況

■資本コストの開示状況

 株主の要求収益率である株主資本コスト、加重平均した株主および債権者の要求収益率である加重平均資本コストの開示状況を調査しました。資本コストを開示している企業の割合は、17%(前年比1ポイント増)でした。その内訳をみると、株主資本コストを開示している企業の割合は10%(同2ポイント増)、加重平均資本コストを開示している企業の割合は9%(同1ポイント増)でした。また、株主資本コスト、加重平均資本コストを開示している企業について、それぞれ平均値を算出したところ、7.3%、6.3%でした。

(図表2)株主資本コスト、加重平均資本コストの開示状況

■資本効率を議論する会議体を設置する企業もある

 企業価値創造にあたって、取締役会で資本効率に関する議論を行うことや、各社の状況に応じ、事業ポートフォリオ戦略をはじめとした取組みを開示することが企業に求められます。企業の中には、より集中的に議論を行うために、個別事業における資本効率性や、全社目線での事業部間の投下資本の最適配分を議論する会議体を設置しているケースもありました。設置している場合、執行側に置かれるケースが大半でした。開示されている具体的なアジェンダの内容として、資産効率やサステナビリティの観点からの事業ポートフォリオ戦略、注視事業の再生・撤退といった事項があげられています。

 本調査の結果について、HRGL代表取締役社長 CEO 内ヶ﨑 茂は次のように述べています。「資本効率性、資本コストに関する情報開示は一歩ずつ浸透しているが、実際の取組みを含めて改善の余地もある。まずは、事業・人財ポートフォリオの方向性や資本配分について取締役会で基本方針を策定し、その内容について投資家をはじめとするステークホルダーとエンゲージメントすることが重要である。取締役会で骨太の成長戦略を策定し、ステークホルダーとの対話で得られたフィードバックを取締役会での議論や経営戦略の遂行に活かすことで、サステナブルな資本市場から高く評価され、持続的な企業価値の向上につながるだろう。」

 “企業の「サステナビリティガバナンス」のエコシステムを構築する”をミッションとするHRGLは、今後も強靭な取締役会を起点としたサステナビリティ経営の実現に向けて、クライアント企業の多様なニーズにお応えし、企業の成長ストーリーをともに描く、コーポレートガバナンスの“かかりつけ医”としての役割を担ってまいります。

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