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ニュースリリース

非財務指標をKPIに採用する企業は「3社に1社」、サステナビリティ視点での報酬ガバナンス改革が進展
-日経225社(2022年6月末時点)役員報酬調査の結果公表-

 HRガバナンス・リーダーズ株式会社(代表取締役社長 CEO 内ヶ﨑 茂、 以下 「HRGL」)は、日本企業の役員報酬に関する調査を行いましたので、調査結果を公表いたします。

【調査実施目的】

  • 「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の改正案の公表(2022年11月)や「コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針」の改訂(2022年7月)など、わが国においてコーポレートガバナンス改革の流れが加速している状況を踏まえ、上場企業が今後の役員報酬制度の設計や開示内容を検討するためのサステナビリティ視座等を提供する

【主な調査結果】

  • 報酬ミックスの平均値は基本報酬:短期インセンティブ(STI):中長期インセンティブ(LTI)=52:27:21であった。総報酬に対して基本報酬の占める割合は減少傾向である一方、インセンティブ報酬(STI・LTI)の占める割合は増加傾向にあった
  • 業績評価指標について、STIでは稼ぐ力を評価する指標である営業利益の採用数が最も多く、増加傾向がみられた。LTIでは株主資本利益率(ROE)の採用数が最も多かったほか、資本市場からの評価指標である株主総利回り(TSR)の採用数と合わせて増加傾向がみられた
  • 業績評価指標に非財務指標を採用する企業の割合は、STIで20.9%、LTIで17.3%であった。STIまたはLTIのいずれかのKPIに非財務指標を導入する企業数は32.4%であり、おおよそ調査対象の3社に1社の割合で採用されている
  • 報酬委員会の平均開催回数は5.5回/年であり、増加傾向にある。取締役会の実効性向上に向けた、委員会活動の活性化も進んでいる

<2022年 日経225社報酬調査 概要>
【調査対象】
・2022年6月末時点での日経225社(日経平均株価算出の対象となる225銘柄)
※経年分析においては、2020年6月末、2021年6月末時点での同構成銘柄と比較。

【調査方法】
・有価証券報告書内での、対象事業年度の経営者報酬に関する記載を調査。

■報酬ミックスの構成

 2022年の日経225社において報酬ミックスを開示している企業は76.4%でした。また、そのうち基本報酬、短期インセンティブ(STI)、中長期インセンティブ(LTI)の3つの基準割合を記載している企業を対象に報酬ミックスの平均値を算出したところ、基本報酬:STI:LTI=52:27:21でした(図表1)。本年は基本報酬の比率が下がり、STI、LTIの比率が上昇する傾向がみてとれました。

(図表1)

■日経225社における役員報酬の業績評価指標の採用状況

①財務指標の採用状況
 STI・LTIで採用されている財務指標を調査しました。STIについては、利益、売上高といった収益性指標の採用が上位にきており、その傾向は2020年、2021年と大きく変わりません(図表2)。LTIでは、収益性指標に加え、効率性指標である株主資本利益率(ROE)や株主価値を表す指標である株主総利回り(TSR)がより多く採用されているのが特徴であり、これら2つの指標について、3年連続で採用件数が増加しています(図表3)。

(図表2)

(図表3)

※同一指標であっても、連結、単体、担当領域等でそれぞれ集計して合算しているため、同一企業が同一指標内で複数回計上されているケースがある。

②非財務指標のKPIの採用状況
 役員報酬のKPIに非財務指標を導入する企業の割合は、STIで20.9%、LTIで17.3%であり、昨年から増加していました(図表4)。その内訳をE/S/G(Environment(環境)/Social(社会)/Governance(企業統治))の領域別にみると、STI/LTIの双方でS関連の指標の採用が最も増加していることがわかります。なお、STIまたはLTIのいずれかのKPIに非財務指標を導入する企業数は32.4%であり、おおよそ調査対象の3社に1社の割合で採用されています。

(図表4)

■報酬委員会の活動状況

 報酬委員会の開催回数を開示している企業について、その開催回数の平均回数を集計したところ、5.5回/年でした。報酬委員会を設置している企業を対象に、報酬委員会のアジェンダの開示の有無を調査したところ、開示している企業の割合は85.9%でした。両項目とも経年で比較すると、増加傾向がみられます。

(図表5)

 本調査の結果について、HRGL代表取締役社長 CEO 内ヶ﨑 茂は次のように述べています。「欧米の潮流同様に、日本企業においても、資本市場の評価を役員報酬に反映させる観点から株主価値を示す指標であるTSRなどをLTIに活用する動きや、役員報酬に非財務指標を組み込むことで将来の財務価値を高めるインセンティブを設ける企業が増えている傾向がみられました。日本企業の報酬プラクティスは、経営陣の適切なリスクテイクを促せるよう徐々に深化していることが示唆されます。今回の分析結果を参考として、今後の日本企業のサステナビリティ視点での経営者報酬ガバナンスをめぐる議論が活発化し、各社のパーパスドリブンな報酬戦略を反映したオリジナルな取組みが広がることを期待しています。」

 “企業の「サステナビリティガバナンス」のエコシステムを構築する”をミッションとするHRGLは、今後も強靭な取締役会を起点としたサステナビリティ経営の実現に向けて、クライアント企業の多様なニーズにお応えし、企業の成長ストーリーをともに描く、コーポレートガバナンスの“かかりつけ医”としての役割を担ってまいります。

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