指名・報酬委員会の事務局が注目すべきトピック(第2回)
指名・報酬委員会の運営に関する課題とヒント
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コーポレート
ガバナンス Corporate
Governance - 指名・人財 Nomination/HR
- 報酬 Compensation
- サステナビリティ Sustainability
HRガバナンス・リーダーズ株式会社
シニアコンサルタント
安生 直史
■ サマリー
指名・報酬委員会(以下「委員会」)の委員会事務局(以下「事務局」)が日々の委員会運営にあたって留意すべき主なポイントとして、①委員会メンバーとの密なコミュニケーション、② 論点となる事項の事前共有、③事務局の在り方の 3 点について紹介する。
委員会の審議において社外取締役に機能発揮いただくには、企業が社外取締役に期待する役割について、あらかじめ双方の認識を一致させておくことが重要である。そのためにも社外取締役に業務執行の責任者である社長 CEO が取締役会などでは伝えきれない行間を知っていただくことは、監督機能として非常に重要になる。社長 CEO と社外取締役との 1on1 等の機会を設けることが効果的な手法の 1 つである。
取締役会や委員会以外のインフォーマルな場で社外取締役同士が対話する機会を設けるケースも増えてきている。ただし、この場合、事務局としては、本来、取締役会や委員会の場で合意形成を図るべき内容について、それら以外の場で合意形成が図られてしまうことのないよう注意を払う必要がある。
委員会の議論を自社の戦略に即した本質的なものとするためには、委員会の審議状況やトピック について、指名と報酬の両委員会間および委員会メンバー以外の社外取締役等に対してタイムリーに情報共有するプロセスを構築することが重要である。
昨今、委員会に求められる期待役割や審議の範囲が拡大する中で、一部の企業では、取締役会運営を中心に委員会運営などを含めたコーポレートガバナンスの強化に向けた取組みを推進する専門組織として、“コーポレートセクレタリー”の機能を持つ組織・部署を立ち上げる動きも出てきている。
今後、コーポレートガバナンスの要諦となる指名・報酬戦略の議論を発展させていくにあたり、事務局はコーポレートセクレタリーとしての重要なポジションを担っていくことになると考えられる。
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1.はじめに
「指名・報酬委員会の事務局が注目すべきトピック」として、No.107 と併せて全 2 回のシリーズでお届けしています。第 1 回(No.107)では、「指名・報酬の各領域で注目すべき論点」として、指名および報酬の各カテゴリにおける最近のトピックとその論点等についてご紹介しました。
第 2 回は「指名・報酬委員会の運営に関する課題とヒント」と題して、指名・報酬委員会事務局(以下、本項において特段の指定がない場合「事務局」とします。)が指名委員会・報酬委員会(以下、本項において特段の指定がない場合「委員会」とします。)の運営にあたって留意すべきポイントを 3 点ご紹介します。
2.指名・報酬委員会の運営に関する課題とヒント
(1)委員会メンバーとの密なコミュニケーション
委員会を運営する中で、取組み手法や頻度がバラバラになりがちな項目として、委員会メンバーである社外取締役と「どのようにコミュニケーションを取るか」が挙げられます。
ここで言う「コミュニケーション」とは次の 2 つを想定しています。1 つは、社外と社内、つまり社外取締役と社長 CEO とのコミュニケーション。もう 1 つは社外同士、つまり社外取締役間でのコミュニケーションです。
1 点目について、社外取締役と社長 CEO とのコミュ">
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シニアコンサルタント
安生 直史 Naofumi Anjo
