HRガバナンス・リーダーズ株式会社

 

指名・報酬委員会の事務局が注目すべきトピック(第1 回)

指名・報酬の各領域で注目すべき論点

  • Sustainability
  • Nomination
    Compensation/HR
  • Strategy/Risk
  • Corporate
    Governance

HRガバナンス・リーダーズ株式会社
シニアコンサルタント

安生 直史

■ サマリー

指名・報酬委員会は2015 年のコーポレートガバナンス・コードの策定を機に設置した企業も多くあり、その運営を担う事務局が参考にできるプラクティスはまだ少ないのが現状である。

今回は「指名・報酬の各領域で注目すべき論点」と題し、指名と報酬それぞれで最近注目されているポイントを紹介する。

<指名領域>取締役会や各種委員会において、企業価値向上に向けた戦略の本質的かつ活発な議論をするためには、例えば「筆頭社外取締役」のような、過去の議論の経緯や企業文化・背景等を熟知した上でディスカッションをリードできる存在がいることが効果的といえる。また、各社外取締役に求める期待役割や位置づけをあらかじめ相互に明確化しておくことも重要である。

<指名領域>最近では「社外取締役の評価」についても各企業で議論が進みつつある。自社にとって理想的なボードメンバーを構成しながら、企業価値向上に資する戦略の本質的な議論を持続的に展開していくためには、客観的かつ大局的な視点を持つ社外取締役の知見や助言が重要となるが、監督側である社外取締役の評価を行い、期待どおりの監督機能の発揮がなされているかどうかについて定点観測していくプロセスは、指名委員会の事務局において今後検討すべき事項といえる。

<報酬領域>マテリアリティ(重要課題)の解決に向けた将来財務価値(非財務価値)に関する取組みにドライブをかけるべく、役員報酬の KPI に将来財務指標を採用する動きが増加している。報酬委員会事務局においては、将来財務指標の選定について、経営戦略との整合性や対象者のモチベ ーション等を考慮しながら継続的に検討・見直しを行っていくべきである。

<報酬領域>経営層の報酬算定に個人評価を用いる際の評価プロセスに報酬委員会を活用するケースも見られる。定性的な要素も含めた適正な評価を行うための評価主体については、各社の事情も踏まえながら、評価者・被評価者の納得感を得つつ、客観性・透明性を担保できるプロセスについて検討・議論していく必要がある。

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1.はじめに

指名・報酬委員会の運営に関する確固たるプラクティスは日本にはまだ少ない

 日本では 2015 年のコーポレートガバナンス・コードの制定(またはその後の改訂)を機に指名・報酬委員会を設置した企業も多く、指名・報酬委員会の運営に関するノウハウが必ずしも十分に蓄積されていないのが現状です。
 一方で、経産省による「コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針(CGSガイドライン)」の改訂、東証による「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」の要請など、コーポレートガバナンスの形式から実質に向けた動きは留まることなく刻々と深化しています。かかる外部環境を踏まえ、指名・報酬委員会に求められる役割も高まっている中で、委員会運営の鍵となる事務局の機能も急速にアップデートする必要が生じている状況にあると考えられます。
 こうした状況である一方で、東証プライム上場企業の半数近くの指名・報酬委員会は設置から 5 年程度しか経過していないのが実態であり、ゆえに社内に“生き字引”のような存在もなく、自社内で課題を解決しようにもヒントがないというのが事務局担当者の日ごろのお悩みと推察します。(図表 1)
 そこで、日ごろから指名・報酬委員会の事務局の皆さまと接する機会が多い筆者らが、日々のクライアント企業とのディスカッションを通じて得た最近の指名・報酬の各領域で論点となっている事項や事務局運営に">

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Opinion Leader

HRガバナンス・リーダーズ株式会社
シニアコンサルタント

Naofumi Anjo

東北大学法学部卒。三菱 UFJ 信託銀行で株式報酬制度の設計を中心とした報酬コンサルティング業務に従事。その後、日系コンサルティングファームで地域活性化に向けた国や自治体の調査・支援、民間企業のスマートシティ施策支援などに関する様々なプロジェクトに参画し、現職に至る。

CORPORATE
STATEMENT

新しい未来へのストーリーを。

ひとりを輝かせることが、
企業を、社会を、そして世界を
輝かせることにつながる。
そう信じている、だから。
志ある企業が、未来にわたって輝き続けるための
持続可能な企業経営の、力となること。
それが、私たち HRガバナンス・リーダーズの
使命です。
ひとりひとりを、それぞれの組織を、強くし、
有機的につなぐ、
サステナビリティガバナンスで。
企業の新しい未来への、ストーリーを創る。
ビジョンを強く実行し続ける在りかたへと、
変えていく。
日本を動かし、世界を変えていく人たちの、力へ。
未来を生み出す力の、力へ。
アイデアと、経験と、知識と、情熱を、
その想いへと、全力で注ぎ込みながら。
ずっとずっと続く道をともに創り、歩み続けます。
一緒に地球を輝かせていく、
そう、仲間となって。