指名・報酬委員会の実効性向上に向けた処方箋(第1 回)
報酬委員会の実効性向上に向けた3 つの視点
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コーポレート
ガバナンス Corporate
Governance - 指名・人財 Nomination/HR
- 報酬 Compensation
- サステナビリティ Sustainability
HR ガバナンス・リーダーズ株式会社
フェロー
北川 尚
■ サマリー
報酬委員会の実効性を向上させるためには、事務局が認識するべき幾つかのポイントがある。
報酬委員会に参加する社外取締役は必ずしも経営者報酬に精通されていない場合もあり、またご自身の限られた時間の中で委員会に参加いただく中で、自社の経営者報酬についてしっかり議論してもらうにはどうすれば良いかを意識することが重要。過去の議論の経緯や最新の論点等について充分な情報提供を行うことや、社外取締役のみで議論を行う場合には自社の経緯を深く理解されている委員に議論をリードいただくといった工夫が求められる。
報酬委員会での議論は、取締役会が経営計画でコミットした事項を踏まえ、それを実現する責任者(取締役会議長や CEO 等)が起案者となり、報酬委員長と事前にコンセンサスを取ったうえで委員会での議論に臨むことが望ましい。取締役会あるいは執行側の意思でアジェンダを起案するプロセスが、実態に合わせた議論に繋がり委員会の実効性向上において重要なポイントとなる。
複雑化・高度化する報酬ガバナンスの論点をキャッチアップし、必要な情報の取捨選択を行うためには、外部リソース(外部有識者)の活用が有効である。加えて、報酬の客観性を担保する観点から、委員会の場に外部有識者を参加させることも考えられる。また、外部データ(報酬サーベイ)の活用も、各ステークホルダーを納得させるための客観性確保のためには必須であり、個社の課題に合わせて複数の外部データを活用することも検討に値する。
中長期的な企業価値の向上を実現するには、指名委員会、報酬委員会がそれぞれにばらばらに運営されるのではなく、取締役会を中心にして、各種委員会が有機的につながっていくように運営することが重要である。
はじめに
委員会運営事務局の観点から
筆者は長らく、事業会社において、取締役会や各種委員会(指名・報酬等)の運営に携わり、各会の実効性を向上させるための取組みを進めてきました。
今回は、その取組みを通じて実感した指名・報酬委員会の運営に係る重要なポイントを、「指名・報酬委員会の実効性向上に向けた処方箋」として、2 回シリーズにわたりご紹介します。本メールマガジンはその第 1 回として、「報酬委員会の実効性向上に向けた 3 つの視点」を中心にご案内します。
なお、本メールマガジンの意見にわたる部分は、著者の個人的な見解であり、著者の過去および現在の所属会社の見解ではない事をあらかじめお断りいたします。
1.報酬委員会の実効性向上に向けた 3 つの視点
1-1. 報酬委員会の議論の実効性を高めるため、事務局が意識するべきこと
報酬委員会の事務局は、社外取締役は必ずしも経営者報酬に精通されていない場合もあり、またご自身の限られた時間の中で委員会に参加いただく中で、自社の経営者報酬についてし っかり議論してもらうにはどうすれば良いかを意識することが重要だと思います。
社外取締役は何でも知っていて、いつも臨戦態勢で議論していただけると思いがちです">
Opinion Leaderオピニオン・リーダー
HR ガバナンス・リーダーズ株式会社
フェロー
北川 尚 Takashi Kitagawa
