指名・報酬委員会の実効性向上に向けた処方箋(第 2 回)
指名委員会の実効性向上に向けた 5 つの視点
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コーポレート
ガバナンス Corporate
Governance - 指名・人財 Nomination/HR
- 報酬 Compensation
- サステナビリティ Sustainability
HR ガバナンス・リーダーズ株式会社
フェロー
北川 尚
■ サマリー
取締役会として中長期的に企業価値をどのようにあげていくのかの方針を決めた上で各委員会の位置づけを整理し、指名委員会の討議内容を定義することが望ましい。
その上で、指名委員会で討議すべきテーマと担うべき役割責任を明らかにし、合意形成(コンセンサス)を図っていくことが注力すべき点である。
委員会の運営が実質的に機能するまでには 3~5 年程度の時間が必要。最初は形式的な運営となっても、委員会を運営しながら実効性を高めていただくように運営することが重要である。
社外取締役の方から業務執行に関わる範囲にまでの意見が出てしまう場面もあり、それを回避するには委員会における討議スタンスを明確にしていただく必要がある。監督に対する役割責任を十分に果たしていただくことが前提としてあり、自社を理解いただき監督の観点から議論を進められる「社外取締役」の外部登用と見極めについても指名委員会の重要な機能として求められる。
経営トップのガバナンスに対する姿勢も非常に重要であり、ガバナンス改革を推進していく上で重要な原動力となる。
サステナビリティ経営など取締役会に求められる責任が大きくなる中で、事務局機能の拡充が必要である。潤沢なリソースがない中で委員会運営していかざるを得ないということに対し、トップの理解を得ながら執行側の関係部署や外部のリソース(有識者やコンサルタント)の活用などが必要。
1.はじめに
委員会運営事務局の観点から
「指名・報酬委員会の実効性向上に向けた処方箋」として、2回シリーズにわたりご紹介しています。前回の「報酬委員会の実効性向上に向けた3つの視点」に続き、第2回となる今回は「指名委員会の実効性向上に向けた5つの視点」をご案内します。
なお、本メールマガジンの意見にわたる部分は、著者の個人的な見解であり、著者が過去に所属した会社の見解ではない事をあらかじめお断りいたします。
2.指名委員会の実態
2-1. 指名委員会の位置づけ
指名委員会は、報酬委員会と比べますと、より「人」に特化し、明確に白黒つけられるものではなく、合意形成が難しいテーマだと認識しています。委員会立ち上げ時は、形式的な議論からスタートしていただき、徐々に委員会での成熟度を上げていただきながら委員の皆さんの目線を合わせて実効性を上げていただくことになると思います。
ここで大切なことは、指名委員会の役割を指名委員会で議論していただくのではなく、「取締役会としてどのような会社を目指していくか(長期ビジョンや中期経営計画)、そしてそれを取締役会としてどうやって実現していくか(戦略と人財のガバナンスなど)」という議論を踏まえ、指名委員会およびその">
Opinion Leaderオピニオン・リーダー
HR ガバナンス・リーダーズ株式会社
フェロー
北川 尚 Takashi Kitagawa
びにコーポレート・ガバナンスに関する開示等の業務に従事。主に取締役会および社長指名・人事・報酬・ガバナンスなど各委員会の年間運営プラン案等の策定・各会の運営サポ
ート・運営結果に基づき各会の実効性の向上案策定のサポート、全役員の報酬プラン案の策定、統合報告書等による各種コーポレートガバナンスに関する活動の開示、コーポレートガバナンス・コード対応等。
