ISSB 公表のサステナビリティ開示基準がもたらす日本企業への示唆
有価証券報告書等における日本企業の情報開示にも将来的に影響を及ぼす
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コーポレート
ガバナンス Corporate
Governance - 指名・人財 Nomination/HR
- 報酬 Compensation
- サステナビリティ Sustainability
HR ガバナンス・リーダーズ株式会社
シニアストラテジスト
中川和哉
■ サマリー
2023 年 6 月、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)は、IFRS S1「サステナビリティ関連財務情報の開示に関する全般的要求事項」及び IFRS S2「気候関連開示」の最終版を公表した。国内では、ISSB が策定した S1、S2 の内容を基に、日本版の S1 基準、S2 基準の策定についてサステ ナビリティ基準委員会(SSBJ)で議論が進んでおり、公開草案を 2023 年度中、最終版を 2024年度中に公表する予定である
IFRS S1、S2 共に、TCFD 提言の 4 つの柱である「ガバナンス」「リスク管理」「戦略」「指標及び目標」を参照し、それらの要素をコア・コンテンツと定めている。IFRS S1 の「ガバナンス 」における要求事項を掘り下げると、TCFD 提言の「ガバナンス」における要求事項と比較して、サステナビリティ関連のリスク及び機会の対応のために策定された戦略の監督において適切なスキルやコンピテンシーを有するか、という視点が盛り込まれている点が特徴的である
IFRS S2 では、2022 年 3 月に公表された公開草案と異なり、特定の産業に紐づく開示指標を現時点では要求事項とせず、代わりに産業別ガイダンスとして提供する方向性に変化している。ただし、将来はそれらも開示要求事項になる見込みである。また、バリューチェーン全体から排出された温室効果ガスを指す Scope3 に関する開示については、公開草案と同様、全ての企業に開示を要請することに決定している
ISSB は、2023 年 5 月に今後 2 年間のアジェンダの優先度に関する意見募集を開始しており、「生物多様性」「人的資本」「人権」という 3 つのサステナビリティトピックに、「報告における統合」を加えた 4 つの優先事項について意見を求めている。これからも、ISSB が開発する基準をベースとして SSBJ が日本版の基準を検討することになると考えられ、最終的にはそれらの内容が有価証券報告書等における日本企業の情報開示にも影響を及ぼす可能性が高い。サステナビリティ開示基準は、➀環境・社会が企業に与える財務的な影響を考慮する「シングル・マテリアリティ」、➁併せて企業活動が環境・社会に与える影響も考慮する「ダブル・マテリアリティ」という 2 つの視点で統合が進んでおり、日本企業としては、両方の視点を踏まえながら自社の魅力が伝わる成長ストーリーを効果的に訴求していくことが求められる
1.ISSB がグローバルなサステナビリティ開示基準を公表
1-1 IFRS S1 に関する主なアップデート
日本版の S1 基準、S2 基準の策定も進んでいる
2023 年 6 月、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)は、IFRS S1「サステナビリティ関連財務情報の開示に関する全般的要求事項」及び IFRS S2「気候関連開示」の最終版を公表しました。ISSB は 2022 年 3 月にこれらの公開草案を公表しており、その際に寄せられたフィードバックを反映する形で最終版を策定しています。IFRS S1 については、「開示基準(Standard)」のほか、「付属ガイダンス(Accompanying Guidance)」と「結論の根拠
(Basis for Conclusions)」、IFRS S2 については「開示基準」、「付属ガイダンス」、「結論の根拠」に加えて「産業別ガイダンス(Industry-based Guidance)も公表されています。国内では、ISSB が策定した S1、S2 の内容を基に、日本版の S1 基準、S2 基準の策定についてサステナビリティ基準委員会(SSBJ)で議論が進んでおり、公開草案を 2023 年度中、最終版を 2024 年度中に公表する予定です。金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」が">
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