モニタリングモデル移行における
経営執行体制強化
今問われる、コーポレートガバナンス改革の実質化 第3弾
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コーポレート
ガバナンス Corporate
Governance - 指名・人財 Nomination/HR
- 報酬 Compensation
- サステナビリティ Sustainability
HRガバナンス・リーダーズ株式会社
プリンシパル
柏櫓 洋之
HRガバナンス・リーダーズ株式会社
シニアマネージャー
岡村 佑太
HRガバナンス・リーダーズ株式会社
マネージャー
鈴木 裕介
HRガバナンス・リーダーズ株式会社
シニアコンサルタント
小林 貴之
■ サマリー
コーポレートガバナンス改革の実質化の議論において、「監督」の強化として取締役会改革に着手(モニタリングモデル、委員会等設置会社への移行)する企業は増えてきていますが、「執行」については十分な議論がなされていない状況です
コーポレートガバナンス改革の実質化を実現するには、「監督」である取締役会改革と「執行」としての執行体制強化の両輪で推進することが求められ、「監督」としての形式上のモニタリングモデルの構築のみならず、その運用を中心とした実質化に向けた執行体制の強化を推進していくことが重要課題となります
執行体制強化に向けては、戦略実行に向けた経営チームの構成、あるべき執行役員制度(CxO制度、役割・ポジションに応じた執行役員のグレーディング/役員人事制度、委任型・雇用型の役員人事制度)、執行役員の後継者計画(サクセッションプラン)、指名委員会との協働の在り方等、多岐にわたる課題に対峙する必要があります
特に「執行」側の責任者である「執行役員」の役割・責任の明確化が重要な課題です。これまでの執行役員は従業員としての内部昇格のポジションとして位置付けられることが多く、その役割や責任は曖昧で、人数増による肥大化に繋がっているケースも多々見受けられています。これからは、経営戦略実現に向け、執行役員の役割・責任を明確化するとともに、多様性のある実行力の高い経営チームをいかに構成できるかが重要となります
本稿では、モニタリングモデルへの移行・実質化に向けた重要課題である執行体制強化・執行役員改革に関し、その考え方や論点・取組み方針について、弊社がこれまで支援を行ってきた事例を踏まえた実務的なノウハウを交えご紹介します
1.経営執行体制強化が求められる背景(「監督」と「執行」の両輪でのコーポレートガバナンス改革)
1-1 監督と執行のあるべき姿・関係
2022年7月に改訂された経済産業省が公表するコーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針(CGS ガイドライン)においては、「コーポレートガバナンス改革の実質化」という言葉を使い、その中身・内容として、取締役会のあり方・モニタリング機能を重視したガバナンス体制、そして経営陣のリーダーシップに着目されています。
それでは、CGSガイドライン等で示される取締役会・監督側と執行側・経営陣との関係性・あるべき姿について、どのように考えるべきでしょうか。2022年CGSガイドライン改訂時において、CGS研究会では、車の両輪として監督と執行のあり方は相互に働きかけあう関係であるとして議論されてきました1 。
我々HRガバナンス・リーダーズも同様に、コーポレートガバナンス改革の目的である持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に向けて、執行側が考えた「目指す会社の姿」からあるべき取締役会の姿が見えてくる一方、監督側の「姿勢や資質」が経営やその体制のあり方を大きく左右するものと考えます(図表1参照)。
図表1
監督と執行の在るべき姿・関係のイメージ1-2 モニタリングモデルと執行体制">
参考文献
- 1 経済産業省産業組織課「CGS研究会 第5回事務局資料」(2022年5月20日)P.8
- 2 経済産業省「コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針(CGS ガイドライン)」(2022年7月)P.13
Opinion Leaderオピニオン・リーダー
HRガバナンス・リーダーズ株式会社
プリンシパル
柏櫓 洋之 Hiroyuki Kashiyagura
現在、取締役会改革に関するデザイン・実装を中心とした上場企業のコーポレートガバナンス改革コンサルティングに従事している。

HRガバナンス・リーダーズ株式会社
シニアマネージャー
岡村 佑太 Yuta Okamura
外資系コンサルティング会社、政府系投資ファンド、ベンチャーコンサルティング会社等を経て現職。
指名・人財ガバナンス領域にて、執行役員改革、人的資本経営推進を中心にプロジェクトに従事。

HRガバナンス・リーダーズ株式会社
マネージャー
鈴木 裕介 Yusuke Suzuki

HRガバナンス・リーダーズ株式会社
シニアコンサルタント
小林 貴之 Takayuki Kobayashi
現在は人財戦略の立案、人事制度設計や人的資本経営推進を中心に人財マネジメントコンサルティングを主に手掛ける。
