英国のコーポレートガバナンス・コード改訂は小規模にとどまる方向に転換
改革のペースは落ちるが、決して英国企業のコーポレートガバナンスの後退を意味しない
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コーポレート
ガバナンス Corporate
Governance - 指名・人財 Nomination/HR
- 報酬 Compensation
- サステナビリティ Sustainability
HR ガバナンス・リーダーズ株式会社
シニアストラテジスト
中川和哉
要点
● 2023 年 11 月、FRC は同年 5 月に公表した英国コーポレートガバナンス・コードの改訂案1における 18 の提案のうち、少数のみを実施し、半分以上は現時点で開発を中止する方向性を発表した2。改訂を小規模にとどめる背景として、企業側の情報開示負担の増加、英国の経済成長、競争力を支えることのバランスへの配慮といった事情が読み取れる
●2024 年 1 月、FRC は新たなコーポレートガバナンス・コードの改訂案を公表する予定である。現時点では、コンサルテーションの過程でステークホルダーから高い支持を得た重複のある条項の削減や合理化と、内部統制について要点を絞った改訂が行われる見込みである。なお、ESG に関する監査委員会の役割、多様性、オーバーボーディング(取締役兼務に伴う業務影響についての開示)などについては改訂を実施しない方向性が示されている。また、監査・保証方針、配当可能利益の報告、レジリエンス・ステートメントの要件に関連する法定文書の撤回を政府が決定したため、他の多くの提案も実施されない見込みであることが記されている
●今回の英国におけるコーポレートガバナンス・コード改訂の背景には、カリリオン社、BHS社、トーマス・クック社など有名企業の破綻を受け、投資家と国民の信頼を回復するために、監査・コーポレートガバナンス・企業報告の改革が必要であるという問題意識があった。今回は少数の提案のみを実施する方向性であるが、そうした改革が引き続き必要なことは、関係者の幅広いコンセ">
Opinion Leaderオピニオン・リーダー
HR ガバナンス・リーダーズ株式会社
シニアストラテジスト
中川和哉 Kazuya Nakagawa
