グローバルリスク報告書2023 が言及する今後注視すべきリスクとは
グローバルリスク報告書2023 が言及する今後注視すべきリスクとは
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コーポレート
ガバナンス Corporate
Governance - 指名・人財 Nomination/HR
- 報酬 Compensation
- サステナビリティ Sustainability
HR ガバナンス・リーダーズ株式会社
アナリスト
池田 葵
■ サマリー
2023 年 1 月に世界経済フォーラム(WEF)がグローバルリスク報告書 2023(以下、報告書)を発表した。報告書は、各国の政界・財界などのリーダーが集い、今後取組むべき世界の優先課題について議論するダボス会議に先駆けて公表されている
今年の報告書においては、短期(今後 2 年間)・長期(今後 10 年間)という両方の視点を強調しており、それぞれの時間軸で深刻度が高いグローバルリスクをランク付けしている。また、昨年と同様、世界各国のビジネスリーダーを対象としたエグゼクティブ・オピニオン・サーベイの調査結果も公表している
グローバルリスクランキングにおいては、短期的に深刻度が最も高いリスクとして「生活費の危機」が挙げられた。長期的に重視すべきグローバルリスクとしては、トップ 10 のうち 6 つが環境・自然に関する項目であり、特に「生物多様性の喪失や生態系の崩壊」が急速に悪化するリスクとして取り上げられた
グローバルリスクに対処するには、起こり得るリスクを予見し、早い段階から適切なアプローチを採る必要性があると考えられる。報告書では、個々のリスクにカスタマイズされた対策が必要であると同時に、個々のテーマに関係なく新しい時代におけるリスクに備えるうえで共通する 4 つの原理として、①リスクの特定と見通し能力の強化、②「将来」のリスクの現在価値の再評価、③複数領域のリスクへの準備に対する投資、④備えと対応策の連携強化、を明記している
G20/OECD コーポレート・ガバナンス原則にもあるように、持続可能な企業モデルへの道筋をたどっていくためには、より効果的なガバナンス体制が求められる。グローバルリスクへの備えを、コーポレートガバナンス強化を通じて講じていく必要があると考えられる
1.グローバルリスク報告書とは何か?
世界各国の政界・財界のリーダーが集うダボス会議に先駆けて公表されている
世界経済フォーラム(WEF)が毎年発行するグローバルリスク報告書は、同じく世界経済フォーラムが開催する年次総会であるダボス会議に先駆けて発表されます。1 月 16 日から20 日にかけて開催された 2023 年のダボス会議では、各国の政界・財界などのリーダーが集い、今後取組むべき世界の優先課題について議論が行われました。また例年と同様、今年もダボス会議に先駆けてグローバルリスク報告書 2023(以下、報告書)が公表されました。
近年、グローバルリスク報告書の調査形態にいくつかの変化が確認できます(図表 1)。 2021 年までは学界・企業・政府等の専門家が参加し、リスクに対しての認識を始めとする今後の見通しなどの調査を行うグローバル意識調査(GRPS)のみが実施されていました。一方、2022 年以降は約 120 ヵ国、12,000 人以上のビジネスリーダーを対象として、今後 2年間、各国にとって最も深刻な脅威となるリスクを特定するエグゼクティブ・オピニオン・サーベイも合わせて実施されています。
グローバルリスクランキングに関しては、2021 年まで、発生可能性と影響の2つの観点から順位付けを行っていましたが、2022 年以降は、深刻度の観点からランキングを作成するように変更されています。また、最新の">
Opinion Leaderオピニオン・リーダー
HR ガバナンス・リーダーズ株式会社
アナリスト
池田 葵 Aoi Ikeda
