HRガバナンス・リーダーズ株式会社

 

欧米企業のCEO報酬制度の最新潮流と日本企業の現在地を解き明かす

  • Corporate
    Governance
  • Nomination/HR
  • Compensation
  • Sustainability

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コンサルタント

石丸 萌

HRガバナンス・リーダーズ株式会社
コンサルタント

前田 祐梨子

HRガバナンス・リーダーズ株式会社
シニアコンサルタント

野中 美希

HRガバナンス・リーダーズ株式会社
シニアコンサルタント

藤岡 佑輔

■ サマリー

CEOの報酬額の中央値は、日本が合計2.5億円、アメリカが35.2億円、イギリスが7.8億円、ドイツが7.2億円と、日本は欧米と比較して依然として報酬水準が低い

日本の報酬ミックス(実績)は、基本報酬が36.5%を占め、ドイツに次いで基本報酬の割合が高く、中長期インセンティブ(LTI)の割合が低い。一方、アメリカは、基本報酬とSTIの割合が低く、8割以上をLTIが占める

業績連動報酬の支給額の決定に用いる業績評価指標における財務指標の採用割合をテーマ別にみると、短期インセンティブ(STI)において、日本は欧米と比較して、純利益や資本効率関連の採用割合が高く、キャッシュフロー関連の採用割合が低い。LTIでは、欧米ではTSR(株主総利回り)関連の採用割合が最も高い。日本でもその採用割合は年々増加しているが、欧米と比較して低い状況にある

将来財務指標の採用割合は、日本では、STIおよびLTIともに年々増加しており、LTIに続き2024 年はSTIも40%台に達した。欧米と比較すると、LTIで最も高い一方で、STIでは最も低い。欧米は、STIの採用割合がLTIより高いものの減少傾向にあり、LTIは増加傾向にある

将来財務指標のテーマ別(E(環境)、S(社会)、G(ガバナンス)、サステナビリティ/ESG、その他)の採用割合をみると、日本は欧米と比較して、STIとLTIでサステナビリティ全般に係る指標である「サステナビリティ/ESG」の採用割合が高く、「サステナビリティ/ESG」以外の個別テーマに係る指標の採用割合は低い

クローバック条項の導入開示企業の割合は、日本では年々高まっておりSTIで28.0%、LTIで57.0%に達したものの、欧米ではほぼ100%である状況と比較すると低い水準にとどまる

1.はじめに

1-1 調査概要

 HRガバナンス・リーダーズは、各国のCEO報酬の水準や制度の特徴を明らかにすべく、日本、アメリカ、イギリス、ドイツの時価総額上位企業を対象に、CEO報酬の調査(以下、「本調査」という)を実施しました。主な調査項目は、CEO報酬の実績、基本報酬・短期インセンティブ(以下、「STI」という)・中長期インセンティブ(以下、「LTI」という)の各スキームの構成比(以下、「報酬ミックス」という)、財務/非財務指標を含む業績評価指標、およびクローバック条項の導入開示状況などです。本稿では、本調査の結果にもとづき、日本および欧米におけるCEO報酬の最新潮流を解説します。

1-2 調査対象企業

 本調査の対象企業は図表1の通りです。

図表1

調査対象企業 注1: 日本は3月決算企業が多いため、アメリカ・イギリス・ドイツより1年前の開示情報を参照しており、多くの日本企業の各年の数値は1年度ずつ前となっている(例:2024年値=2023年度の開示情報を基にした集計)
注2: 将来財務指標ウェイトを開示している日本企業の数が限定的であるため、当項目についてはユニバースを日経225構成企業に拡大して集計

2.報酬実績・">

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参考文献

  • 1.経済産業省「『稼ぐ力』の強化に向けたコーポレートガバナンスガイダンス」(2025年4月30日)https://www.meti.go.jp/press/2025/04/20250430002/20250430002-3.pdf.
  • 2.U.S. Securities and Exchange Commission, “Regulation S-K,” https://www.sec.gov/rules-regulations/staff-guidance/compliance-disclosure-interpretations/regulation-s-k.
  • 3.Michael Bonner, Melissa Burek “Long-Term Incentive Plans: Payouts and Performance Alignment”, Harvard Law School Forum on Corporate Governance. https://corpgov.law.harvard.edu/2022/05/12/long-term-incentive-plans-payouts-and-performance-alignment/.
  • 4.Security and Exchange Commission, “listing Standards for Recovery of Erroneously Awarded Compensation,” https://www.sec.gov/files/rules/final/2022/33-11126.pdf.
  • 5.Financial Reporting Council, “UK Corporate Governance Code” (2024年1月) https://media.frc.org.uk/documents/UK_Corporate_Governance_Code_2024_a2hmQmY.pdf.
  • 6.Regierungskommission Deutscher Corporate Governance Kodex, “German Corporate Governance Code” (2022年4月28日改訂) https://dcgk.de/files/dcgk/usercontent/en/download/code/220627_German_Corporate_Governance_Code_2022.pdf.
  • 7.内ヶ﨑茂, 安生直史, 大杉陽, 小川雄大, 藤野友則「開示から見る日本の経営者報酬制度の現在地と今後の展望」『旬刊 商事法務』No. 2378(2024年12月25日).

Opinion Leader

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Moe Ishimaru

應義塾大学総合政策学部卒。前職は外資IT企業にてDXやデータ・AI活用を支援。当社では主にサステナビリティ領域のリサーチを担当。

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Yuriko Maeda

東京大学大学院総合文化研究科修了。前職はメーカーの経営管理部門にて、社内におけるSDGs意識の醸成やダイバーシティ推進のための施策に携わる。当社では、コーポレートガバナンスの各領域に係る国内外のリサーチ業務に従事。

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Miki Nonaka

大手金融機関にて受託財産管理業務に従事。その後、シンクタンクにて、福祉・労働分野を中心とした官公庁からの受託調査研究、民間企業向けコンサルティング業務、官庁への出向を経験。現在は、サステナビリティ領域を中心にガバナンスコンサルティング及びリサーチ業務に携わる。慶應義塾大学商学部卒。

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シニアコンサルタント

Yusuke Fujioka

三菱UFJ信託銀行に入社し、リテール営業、企画業務を経て2021年4月よりHRガバナンス・リーダーズに出向。現在は当社の経営企画管理業務を主とし、コーポレートガバナンスに係るリサーチ業務にも従事。

CORPORATE
STATEMENT

新しい未来へのストーリーを。

ひとりを輝かせることが、
企業を、社会を、そして世界を
輝かせることにつながる。
そう信じている、だから。
志ある企業が、未来にわたって輝き続けるための
持続可能な企業経営の、力となること。
それが、私たち HRガバナンス・リーダーズの
使命です。
ひとりひとりを、それぞれの組織を、強くし、
有機的につなぐ、
サステナビリティガバナンスで。
企業の新しい未来への、ストーリーを創る。
ビジョンを強く実行し続ける在りかたへと、
変えていく。
日本を動かし、世界を変えていく人たちの、力へ。
未来を生み出す力の、力へ。
アイデアと、経験と、知識と、情熱を、
その想いへと、全力で注ぎ込みながら。
ずっとずっと続く道をともに創り、歩み続けます。
一緒に地球を輝かせていく、
そう、仲間となって。