HRガバナンス・リーダーズ株式会社

 

「稼ぐ力」の強化に向けたコーポレートセクレタリー機能の高度化

経営の監督と執行を束ねる取締役会事務局の役割とは

  • Corporate
    Governance
  • Nomination/HR
  • Compensation
  • Sustainability

HRガバナンス・リーダーズ株式会社
アナリスト

前田 祐梨子

■ サマリー

日本におけるコーポレートガバナンスは、過去10年の改革を経て形式面では一定の進展をみせた。他方、収益力強化や中長期的な企業価値向上につながる真に実効性のあるコーポレートガバナンスの実装に向けては課題も多いことが指摘されている。

HRGLは、日本企業の監督と執行の望ましいあり方として「コーポレートガバナンス7.0」を提唱する。コーポレートガバナンス7.0においては、取締役会による経営の基本方針の策定、取締役会から権限移譲された執行側による強力な執行、取締役会および各委員会による基本方針に基づく監督の3要素が肝要である。

コーポレートガバナンス7.0の実現のためには、経営の監督と執行に係る各組織を有機的に束ねる「コーポレートセクレタリー機能」が不可欠であると考える。具体的には、取締役会および各委員会、社外取締役、執行側の間での連携を促す機能が必要である。本稿はこのコーポレートセクレタリー機能に焦点を当てる。

日本企業では取締役会や委員会などを支援する機能が複数部門に分散しているケースが多く、取締役会および各委員会の運営過程で連携が不足している可能性がある。

英米企業では、コーポレートセクレタリーという役職を担う人物が、コーポレートガバナンスに係る事項を一元的に統括し、監督と執行に係る各組織間の橋渡し役を担っている。法務やコーポレートガバナンスの専門家が同役職を務めるケースが多い。

日本企業におけるコーポレートセクレタリー機能の高度化のためには、専門部署の設置などによる取締役会支援機能の一元化が望まれるが、当機能が複数部門に分散している場合は部門間の適切な連携が肝要である。また、取締役会事務局には、コーポレートガバナンスに係る知識や実務経験、企業法務やIR分野での専門性を備えた人物が不可欠であり、組織として経営や監査の経験も必要であると考える。

目次

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1.はじめに

 日本におけるコーポレートガバナンス改革元年といわれる2015年から10年が経ち、多くの企業で社外取締役の選任や指名・報酬委員会が設置されるなど、日本企業のコーポレートガバナンスは形式面においては一定の進展を遂げてきました。具体的にみると、2024年7月時点の東京証券取引所のプライム市場上場企業のうち、独立社外取締役を3分の1以上選任する企業は98.1%、任意の場合も含めて指名委員会を設置する企業は90.6%、報酬委員会を設置する企業は92.2%となっています 1
 しかし、形式的な体制の整備が進む一方、それが必ずしも企業の「稼ぐ力」に結び付いておらず、中長期的な企業価値向上というコーポレートガバナンス改革の本来の目的に照らすといまだ課題が多いことも指摘されています2
 こうした中、企業には形式的な体制整備にとどまらず、実質の伴ったコーポレートガバナンス改革を進めること、それにより経営における監督と執行の実効性を高めることが求められています。本稿では、HRGLが日本企業の監督と執行の望ましいあり方と考える「コーポレートガバナンス7.0」の考え方をご紹介するとともに、その実現のためのカギとなる「コーポレートセクレタリー機能」のあり方について考察します。

1-1 コーポレートガバナンス7.0とは

 HRGLが提唱するコーポレートガバナンス7.0とは、強靭な取締役会が骨太の成長ストーリーを描いて進むべき道を照らし、CEOが機会とリスクを見極めながら歩む道筋とスピードを決めるという経営のあり方です。その詳細は弊社のメールマガジンNo.103 3において説明されていますが、ここではその概要についてご説明します。
 コーポレートガバナンス7.0においては、まず取締役会が会社の進むべき方向性であるパーパスを定義し、その実現のために解決すべきマテリアリティを特定する必要があります。そしてそれらにもとづき、CEOが骨太の成長ストーリーの案を構想し、取締役会に提案します。取締役会はこれについて議論を行い、骨太の成長ストーリーを策定します。さらに、骨太の成長ストーリーの実現のための経営のグランドデザインをCEOが描き、これをもとに取締役会が経営の基本方針を策定します。
 上記のプロセスを経て経営の基本方針が策定されたら、次は当方針にもとづき、取締役会からCEOが率いる経営陣への大胆な権限移譲を行うことが肝要です。これにより、経営の意思決定の質とスピードが高まり、企業の「稼ぐ力」の強化にもつながることが期待されます。
 そして、取締役会は、経営の基本方針を通じて経営チームによる執行を監督していくことが求められます。ここでは監督の実効性を高めるため、指名委員会、報酬委員会、監査委員会などの各委員会が連携しながら監査・監督を行うことが重要です
 このように、コーポレートガバナンス7.0においては、①強靭な取締役会による経営の基本方針の策定、②経営陣による強力な執行、③取締役会および各委員会による基本方針に基づく監督という3要素全てをそろえることが肝要となります。

図表1

コーポレートガバナンス7.0の全体像
出典:HRGL作成

1-2 コーポレートセクレタリー機能の強化の必要性

 コーポレートガバナンス7.0を実現するためには何が必要になるでしょうか。ひとつのカギは、取締役会事務局が果たすコーポレートセクレタリー機能の強化であると考えます。経済産業省が2024年9月に立ち上げた「『稼ぐ力』の強化に向けたコーポレートガバナンス研究会」においても、取締役会を支える事務局(本稿における「コーポレートセクレタリー」と同義)のあり方が議論のスコープに含まれており4 、コーポレートガバナンスの実質化に向けた重要課題であることがうかがえます。
 コーポレートセクレタリー機能に期待されるのは、端的には、経営の監督と執行に係る各組織を有機的に束ねる役割です。具体的には、取締役会および各委員会、社外取締役、執行側の間での連携を促進することが求められます。日本企業の場合、こうした連携において、取締役会事務局が果たす役割が大きいと考えます。以下では、コーポレートセクレタリー機能の高度化に向けて取締役会事務局に期待される具体的な役割についてみていきます。
 取締役会事務局の役割として第一に重要なのが、取締役会とその下にある指名委員会、報酬委員会、監査委員会といった委員会の間の適切な連携を促進することです。これにより、取締役会で議論・策定した経営の基本方針や今後の事業の見通しが各委員会に確実に共有され、取締役会と各委員会が目線を合わせて統合的な監督機能を発揮できるようになることが期待されます。たとえば、報酬委員会は自社の戦略の実現を適切に動機付けする報酬ミックスやKPIを設定し、指名委員会は戦略の実現を可能とする次期経営者を育成するためのサクセッションプランを策定することが望まれます。また、CGSガイドラインでも示されているように、社長・CEOの評価に際して、選解任を念頭に評価を行う指名委員会と、役員報酬額の決定にあたり評価を行う報酬委員会とが適切に連携することも、各委員会の実効性向上の観点から重要です5
 それに加え、社外取締役がその役割を十分に発揮できるよう、情報連携や環境整備、支援を行うことも、取締役会事務局の重要な役割です。2020年7月に公表された「社外取締役の在り方に関する実務指針」 6では、社外取締役が活躍するためには取締役会事務局の役割が重要であることが明記されており、取締役会の議案の論点整理や事前の情報提供、平時から社外取締役が必要と考える情報を円滑に入手できるような環境整備などを行うことが望ましいとされています。それに加え、取締役会の実効性評価の結果に対する社外取締役のフィードバックを積極的に取り上げることや、新任の社外取締役へのオリエンテーション、その後の研修の提供などの支援を行うことも期待されています。
 また、監督側における連携だけでなく、コーポレートガバナンスにおける諸課題に関して執行側のトップや各部門との情報連携を行う役割も重要です。取締役会事務局は、監督と執行の間の情報の非対称性に対処しつつ、両者が良好な関係を築くためのハブとして機能することが望まれます。
 さらに、社外との連携の観点では、取締役会事務局がIR部門などと連携し、コーポレートガバナンスにおける諸課題に関する対外的なエンゲージメントの窓口として、株主や投資家との対話により深く関与することも期待されます。これは、外部から得た視点を取締役会の運営にスムーズに反映させることを可能にし、継続的なコーポレートガバナンスの高度化に寄与すると考えます。
 このように、取締役会事務局には、コーポレートガバナンスに係る社内外のステークホルダーの視座に横串を通し束ねることで、実効性の高いコーポレートガバナンスを支える役割が期待されています。

2.日本企業における取締役会支援体制の現状と課題

 上述のとおり、日本企業においては、取締役会事務局をはじめとする取締役会の支援体制が、社内外のステークホルダーの視座を束ねるというコーポレートセクレタリー機能を高度化させることが望まれます。
 本節では、HRGLが2024年に実施したコーポレートガバナンス・サーベイ(以下、「CGサーベイ」という)の結果をもとに、日本企業における取締役会支援体制の現況と課題について考察します。
 日本企業では、取締役会を支援する専門部門が必ずしも独立で設置されている訳ではなく、経営企画や総務などのいわゆるコーポレート部門が支援機能を分担しているケースも多いと考えられます。CGサーベイによると、取締役会支援体制の構成メンバーが所属する部門としては経営企画部門や総務部門が多く、そのほかにも法務部門や秘書部門、人事部門などの幅広い部門に所属するメンバーが支援体制に参加していることがわかります(図表2)。
 また、取締役会支援体制を設置している企業のうち、その担当者を2部門にわたり設置している企業は25.0%、3部門以上にわたり設置している企業は15.2%であり、合わせて40.2%の企業で取締役会を支援する機能が複数部門に分散しています(図表2)。取締役会運営は法務や秘書部門、指名委員会や報酬委員会の運営は人事部門、投資家との対話はIR部門というように、コーポレートガバナンスに係る様々な機能が各部門に分散していることが考えられます。こうしたケースにおいては、支援体制が一部門に集約されている場合と異なり、取締役会および各委員会のそれぞれの運営過程において十分な連携がとれておらず、統合的な視座にもとづくコーポレートセクレタリー機能の発揮が妨げられている可能性があります。

図表2

取締役会支援体制メンバーの所属部門(n=244)
出典:2024年コーポレートガバナンス・サーベイデータよりHRGL作成

 続いて、監督と執行に係る各組織間の連携において取締役会支援体制が果たす役割についてみていきます。CGサーベイによると、取締役会と執行側との連携方法として「取締役会支援体制からの情報共有」を挙げる企業の割合が77.0%と最も多く、連携において取締役会支援体制が中心的な役割を果たしていることがうかがえます(図表3)。他方、取締役会と各委員会の連携方法については、「取締役会支援体制からの情報共有」を挙げる企業は41.0%にとどまっており、それ以外の連携方法として各委員会の委員長および委員から取締役会への報告を挙げる企業が多くみられます。こうした方法による連携を補完するためにも、取締役会支援体制による情報提供を強化する余地があると考えられます。

図表3

取締役会と執行側、各委員会との連携方法(n=244)
出典:2024年コーポレートガバナンス・サーベイデータよりHRGL作成

3.英米企業におけるコーポレートセクレタリーの役割

 英国および米国企業では、コーポレートセクレタリー7 という役職を担う人物が、コーポレートセクレタリー機能を一元的に担っているケースが多くみられます。本節では、HRGLが行った調査の結果をもとに、両国におけるコーポレートセクレタリーの役割や責任および求められるスキルや経験について考察します。

3-1 コーポレートセクレタリーが担う役割と責任とは

 はじめに、英米企業のコーポレートセクレタリーが担う役割や責任についてみていきます。
 英国のコーポレートガバナンス・コード(以下、「CGコード」という)では、コーポレートセクレタリーが「ガバナンスの全ての事項について取締役に助言する責任を有する」との記載があり、コーポレートガバナンスの幅広い事項を統括する役割が期待されていることがうかがえます 8。取締役会の実効性向上のために、会社法で役員としての選任が義務づけられ、上場企業に対しては専門職としての職務経験などの資格要件が課されています。また、米国では、各社のコーポレートセクレタリーなどが加盟するコーポレートガバナンス協会(Society for Corporate Governance)がコーポレートセクレタリーの主要な役割についてまとめています。そのなかでは、法的要件を満たすための正確で十分な文書記録という従来からの役割が重要である一方、取締役会の相談相手として助言を提供する役割や、近年は戦略レベルの執行役員としてコーポレートガバナンス領域を主導する役割が重要になりつつあることが示されています9 。このように、英米企業のコーポレートセクレタリーには、単なる取締役会運営の支援業務にとどまらず、コーポレートガバナンス全般に関して取締役会に助言を行うなど、コーポレートガバナンス領域における主導的な役割が期待されていることがうかがえます。
 図表4では、コーポレートセクレタリーに関する情報開示が比較的充実している英国企業3社、米国企業2社における同役職の役割・責任について、各社の開示資料をもとにまとめています。これらの企業の事例から読みとれる英米企業のコーポレートセクレタリーの主要な役割としては、①コーポレートガバナンスに関わるすべての事項を統括し、取締役会に助言を行うこと②取締役会、各種委員会、経営陣、上級管理職、社外取締役の間の橋渡し役として連携を促進することがあります。またその他にも、③取締役会の実効性評価や取締役の研修などの能力開発の実施④株主との関係の構築・管理といった業務をはじめ、コーポレートガバナンスに関する幅広い役割を担っていることがわかります。

図表4

英米企業におけるコーポレートセクレタリーの役割・責任の事例
出典:各社ウェブサイト、アニュアルレポート、プロキシー・ステートメントよりHRGL作成

3-2 コーポレートセクレタリーを担う人物には何が求められるか

 続いて、英米企業においてどのような人物がコーポレートセクレタリーを務めているかをみていきます。
 英米のトップ企業の開示情報をもとに、各社のコーポレートセクレタリーの、CxOをはじめとする他の役職との兼任状況および過去の経験について調査しました。具体的な調査対象は、GICSの11セクター各々における時価総額トップ企業(2024年1月末時点)のうち、コーポレートセクレタリーについて詳細に開示している企業です。
 調査の結果を図表5にまとめています。第一に、コーポレートセクレタリーが兼任する役職としては、企業の法務部門のトップである最高法務責任者(以下、「CLO」という)やゼネラルカウンセル10 が多く、そのほかには最高ガバナンス責任者(以下、「CGO」)との兼任事例もみられました。コーポレートセクレタリーが、企業法務を統括する執行側の役職者として、コーポレートガバナンスにも責任をもつケースが多いことがうかがえます。
 第二に、コーポレートセクレタリーの過去の経験としては、他社でのコーポレートセクレタリーの経験のほか、ゼネラルカウンセルやCLOとして法務部門を率いてきた経験や、法律事務所で企業法務関連の業務に従事した経験が多くみられました。弁護士資格を持つ人物も多く、コーポレートガバナンスおよび企業法務に関する高度な専門性と実務経験を有するスペシャリストがコーポレートセクレタリーを務めていることがわかります。
 このように、英米企業においては、コーポレートガバナンスや企業法務分野の高度な専門性を有する人物が、コーポレートガバナンス全般に関する幅広い機能を一元的に統括しており、統合的な監督機能の向上に寄与していると考えられます。

図表5

英米企業におけるコーポレートセクレタリーと他の役職の兼任状況
出典:各社ウェブサイト、アニュアルレポート、プロキシー・ステートメントよりHRGL作成

4.コーポレートセクレタリー機能の高度化に向けて

 ここまで、日本企業における取締役会支援体制の現況と課題に加え、英米企業におけるコーポレートセクレタリーの役割および求められる資質についてお示ししました。その内容を踏まえつつ、本節では、日本企業におけるコーポレートセクレタリー機能の高度化に向けた取締役会事務局の望ましいあり方をご提案します。
 コーポレートセクレタリー機能の高度化に向けては、第一に、コーポレートガバナンス全体に係る統合的な視座をもった取締役会支援体制を構築することが肝要だと考えます。英米企業においては、コーポレートガバナンスに係るすべての事項をコーポレートセクレタリーが一元的に統括しており、これにより取締役会および各委員会、執行側、投資家などの視座に横串を通し束ねることが可能になっていると考えられます。
 一方、既述のとおり、日本企業では取締役会支援体制が複数部門に分散しているケースが多くみられます。理想としては、コーポレートガバナンス専門の部署を設置するなどしてコーポレートセクレタリー機能を一元化することが望まれますが、支援体制が複数部門に分散している場合は、各担当部門間の適切な連携体制を構築し、目線を合わせたうえで取締役会や委員会の運営にあたることが肝要です。
 また、取締役会事務局は、コーポレートガバナンスに関する高度な専門性を備えている必要があると考えます。英米企業においては、コーポレートセクレタリーの役職を企業法務やコーポレートガバナンスのスペシャリストが担っていることは既述のとおりです。日本企業の取締役会事務局も、コーポレートガバナンス全般について統合的な視座から助言・支援を提供するため、コーポレートガバナンス全般に関する知識や実務経験のほか、企業法務やIR分野での専門性を備えていることが不可欠であると考えます。我が国においては、経営の執行と監督のリエゾン機能を担うことや、エグゼクティブセッションの事務局として各委員会の連携機能を担うことも期待されていることから、経営の執行と監査の双方の経験を組織として獲得する方向性を目指すべきであると考えます。
 CGサーベイの結果、取締役会の運営・支援にあたり「事務局内に必要な専門知識を有する人財が確保できており、基本的に事務局ですべて対応している」と回答した企業はわずか9.8%でした。それ以外の大半の企業は適宜執行側と連携しながら対応しており、取締役会事務局内でコーポレートガバナンスに係る専門的な問題に対処するための専門性が不足している企業が多いことがうかがえます。企業は取締役会事務局にコーポレートガバナンスのスペシャリスト人財を配置するとともに、必要に応じて外部の専門アドバイザーを活用し、自社のコーポレートセクレタリー機能を高めることが有効であると考えます

5.おわりに

 本稿では、HRGLがコーポレートガバナンスの理想像として提唱するコーポレートガバナンス7.0の考え方に基づき、その実現のための重要要素であるコーポレートセクレタリー機能のあり方について考察してきました。
 過去10年間のコーポレートガバナンス改革を通じて指名委員会等設置会社および監査等委員会設置会社に移行しモニタリングモデルを採用する企業が増加するなか、監督と執行をつなぐコーポレートセクレタリー機能は今後ますます重要になると考えます。また、監査役会設置会社を中心とするマネジメントモデルを採用する企業においても、任意の指名委員会、報酬委員会を設置する企業が多くなっており、取締役会に占める社外取締役の割合も増加しています。こうしたなか、取締役会と委員会による監督の実効性を高めるためには、取締役会と各委員会間の連携を促し社外取締役への適切な支援を行うコーポレートセクレタリー機能が極めて重要になると考えます。
 このように、コーポレートガバナンスの外形的な整備が一定程度進んだ今、真に実効性の高い監督と執行を実現するため、コーポレートセクレタリー機能が果たすべき役割は非常に大きくなっています。本稿で重要性をお示ししたコーポレートセクレタリー機能が企業において十分に発揮されるよう、今後取締役会事務局の役割・体制の強化が期待されます11

参考文献

Opinion Leader

HRガバナンス・リーダーズ株式会社
アナリスト

Yuriko Maeda

東京大学大学院総合文化研究科修了。前職はメーカーの経営管理部門にて、社内におけるSDGs意識の醸成やダイバーシティ推進のための施策に携わる。当社では、コーポレートガバナンスの各領域に係る国内外のリサーチ業務に従事。