HRガバナンス・リーダーズ株式会社

 

CGC 改訂後の「知財・無形資産」情報開示 最新状況調査(その2)

プライム市場時価総額上位 950 社の知財・無形資産ガバナンス実践状況調査・分析

  • Sustainability
  • Nomination
    Compensation/HR
  • Strategy/Risk
  • Corporate
    Governance

HRガバナンス・リーダーズ株式会社
フェロー

菊地 修

高野誠司特許事務所 所長

高野 誠司

■ サマリー

コーポレートガバナンス・コード(以下「CGC」)が 2021 年 6 月に改訂され、補充原則 3-1
③ に「知財投資に関する情報開示」が、4-2②に「取締役会での知財投資の監督」が追記された。これを受け、内閣府・経済産業省は「知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会」(以下「知財投資検討会」)を発足し、「知財・無形資産ガバナンスガイドライン(Ver1.0)」(以下「ガイドライン」)を 2022 年 1 月に公表した。さらに、2023 年 3 月にはガイドライン Ver2.0 を公表し、企業の情報開示と投資家との対話を促している。

これにより上場企業には、CGC やガイドラインに則して、知財・無形資産投資・活用戦略を実行し、その内容を具体的に情報開示すること(以下「知財・無形資産ガバナンス」)が求められた。そこで、当社が、幹事として 2021 年 4 月に発足した「知財ガバナンス研究会」では、2022 年 4 月に「JPX 日経インデックス 400 の構成銘柄企業」を対象に、そのコーポレートガバナンス報告書(以下「CG 報告書」)の記載等に基づき、知財・無形資産ガバナンスの実践状況を調査し分析を行った(以下この調査分析を「JPX400 分析」という)。

この分析によれば、補充原則 3-1③にコンプライしている会社は、多数(87%)を占めていたが、知財・無形資産投資・活用戦略等の知的活動について具体的に情報開示を行っていた企業は 56%に留まっていた。コンプライをしながら、情報開示が不十分又は具体的な活動が開示されていない企業が 44%も存在し、更に 31%の企業にあっては記載すらなされていなかった。

 2022 年 6 月 27 日に、この内容を知財投資検討会にて報告したところ、企業の取り組み状況を具体的に示す結果で大いに参考になると評価を頂くと共に、プライム市場へと調査対象を拡大することの期待が寄せられた。そこで知財ガバナンス研究会では、プライム市場上場企業の時価総額上位 950 社に対象を広げ、2023 年 1 月時点における実践状況について調査し分析を行い(以下この調査分析を「プライム分析」という)、その結果を本書にまとめ、知財投資検討会にあらためて報告した。

本稿は、このプライム分析をまとめたもので、CG 報告書に加え、統合報告書、知財報告書などの公開情報を調査対象として拡大すると共に、調査項目として投資家視点等 6 項目を追加した。さらに、時価総額、業種、営業利益率、ROE、R&D 比率に加え、投資家が重視しているPBR も分析視点に追加した。この分析を考察し、知財・無形資産ガバナンスの課題を浮き彫りにして、今後の活動や情報開示の在り方を提言している。

1.我々の問題認識と調査目的

知財・無形資産ガバナンスへの取り組み・開示状況分析の重要性

 CGC は、上場企業が「稼ぐ力の強化」と「持続的な成長」を実現するために、2021 年 6月に改訂され、人的資本と知財・無形資産に関する投資・活用戦略を実施することを期待し、補充原則 4-2②に「取締役会が人財や知財への投資を監督すること」を規定すると共に、それら「人財や知財への投資に関する情報を開示すること」を補充原則 3-1③で求めている。上場企業は、これらの補充原則に対して、コンプライするか、エクスプレインするかを判断し、CG 報告書等でその内容や理由等を開示することが求められている。
 知財ガバナンス研究会では、2022 年 4 月に、JPX400 企業を対象に、上記補充原則の知財投資に関して如何なる取り組みや開示を行っているかを分析した。その結果、「コンプライしているにもかかわらず、具体的な取り組みを開示していない会社が少なからずある」ことを確認することができ、知財投資検討会に報告したところ、今後プライム市場への上場企業に対して引き続き調査し分析を行うことが要請された。
 そこで、この JPX400 分析から9か月が経ち、また CGC 改訂から 1 年半が経過した2023 年 1 月時点において、プライム市場の時価総額上位 950 社に対象を広げ調査分析を行 った。このプライム分析では、調査対象情報を統合報告書な">

会員登録頂きますと、
全文を閲覧することが可能となります。

すでに会員登録されている方はこちらからログインしてください。

Opinion Leader

HRガバナンス・リーダーズ株式会社
フェロー

Osamu Kikuti

高野誠司特許事務所 所長

Seiji Takano

CORPORATE
STATEMENT

新しい未来へのストーリーを。

ひとりを輝かせることが、
企業を、社会を、そして世界を
輝かせることにつながる。
そう信じている、だから。
志ある企業が、未来にわたって輝き続けるための
持続可能な企業経営の、力となること。
それが、私たち HRガバナンス・リーダーズの
使命です。
ひとりひとりを、それぞれの組織を、強くし、
有機的につなぐ、
サステナビリティガバナンスで。
企業の新しい未来への、ストーリーを創る。
ビジョンを強く実行し続ける在りかたへと、
変えていく。
日本を動かし、世界を変えていく人たちの、力へ。
未来を生み出す力の、力へ。
アイデアと、経験と、知識と、情熱を、
その想いへと、全力で注ぎ込みながら。
ずっとずっと続く道をともに創り、歩み続けます。
一緒に地球を輝かせていく、
そう、仲間となって。