HRガバナンス・リーダーズ株式会社

 

経済産業省「インセンティブプラン導入の手引」改訂について

従業員に対する自社株報酬の活性化に向けて各種の論点整理がなされる

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HR ガバナンス・リーダーズ株式会社
マネージャー

山口 敦子

■ サマリー

経済産業省は、『「攻めの経営」を促す役員報酬-企業の持続的成長のためのインセンティブプラン導入の手引-』を 2023 年 3 月 31 日に改訂した。

今般の改訂は、2022 年 7 月に改訂を行った「コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針」の内容を踏まえ、従業員に自社株報酬を付与する場合の Q&A の追加を中心として行われている。

主な改訂部分としては、従業員に対する株式報酬の付与にかかる論点等について Q78~Q83 が新設された。主要なものとして、労働基準法における賃金通貨払いの原則にかかる論点(Q80)では、一定の要件を満たすことで賃金通貨払いの原則に抵触しないと考えられること、金融商品取引法における届出前勧誘にかかる論点(Q82)では、従業員に株式報酬の説明を行う際、届出前勧誘に該当する可能性などについて例示を用いて言及されるなど、一定の整理がなされている。

また、社会保険料の算定の対象になるかどうかについて(Q13)、退職したことに起因して退職時に支払われることとなる株式報酬は報酬等(報酬および賞与)に該当せず、算定の対象にならないということが明記された。

従業員に関するテーマは各方面で議論が加速している。従業員に対する株式報酬は欧米のグロ ーバル企業では一般的となっており、日本企業においても、全従業員を対象とする事例なども出てきていることから、今般の手引改訂がこういった取組みの後押しとなることが期待される。

1.はじめに

CGS ガイドラインの改訂をきっかけとした手引改訂が行われた

 経済産業省は、中長期の企業価値向上に対応する役員報酬プランの導入を促すため、『「攻めの経営」を促す役員報酬-企業の持続的成長のためのインセンティブプラン導入の手引-』(以下、「手引」)を 2017 年 4 月に作成・公表し、その後も法令改正等に応じて改訂を行っています。
 今回は、2022 年 7 月に改訂を行った「コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針」(以下、「CGS ガイドライン」)の内容を踏まえ、従業員に自社株報酬を付与する場合の Q&A の追加を中心として、2023 年 3 月 31 日に改訂が行われました。
 本メールマガジンでは、改訂された手引の内容を簡潔にご紹介します。

2.改訂の概要

従業員を株式報酬の対象とする場合の Q&A が新設された

(1) Q&A の改訂
① 従業員に対する株式報酬の付与に関する Q&A の新設について
今般の手引改訂は、2022 年 7 月に行われた CGS ガイドラインの改訂がきっかけとなっていることがプレスリリース等から読み取れます。CGS ガイドラインでは、執行側の機能強化">

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Opinion Leader

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マネージャー

Atsuko Yamaguchi

慶應義塾大学法学部法律学科卒。三菱 UFJ 信託銀行にて、ESOP・BIP 信託や報酬等のコンサルティング業務を経験し、当社に入社。2021 年 4 月より経済産業省に出向し、役員報酬の手引きや CGS ガイドライン改訂等に携わる。2023 年4 月に帰任し、現在に至る。主な執筆論文に「コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針(CGS ガイドライン)」の改訂の解説」(旬刊商事法務 2302 号、共著)がある。

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そう信じている、だから。
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それが、私たち HRガバナンス・リーダーズの
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ひとりひとりを、それぞれの組織を、強くし、
有機的につなぐ、
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変えていく。
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未来を生み出す力の、力へ。
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その想いへと、全力で注ぎ込みながら。
ずっとずっと続く道をともに創り、歩み続けます。
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