日経225構成企業の経営者報酬制度を巡る最新動向
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コーポレート
ガバナンス Corporate
Governance - 指名・人財 Nomination/HR
- 報酬 Compensation
- サステナビリティ Sustainability
HRガバナンス・リーダーズ株式会社
シニアコンサルタント
小沢 潤子
HRガバナンス・リーダーズ株式会社
コンサルタント
大杉 陽
■ サマリー
HRGLでは例年日経225を構成する企業群の上場企業の役員報酬制度設計や有価証券報告書における経営者報酬関連の記載内容について、そのトレンドを確認すべく調査を実施している。本稿では①ピアグループの開示状況、②報酬ミックスの構成、③STI・LTIにおけるKPIの設定状況、④クローバック条項、⑤社外取締役・従業員への株式交付の導入開示状況に関する調査結果について述べる。
ピアグループの定義を開示している企業は41.8%であり、昨年から微増にとどまる。
基本報酬、短期インセンティブ(STI)、中長期インセンティブ(LTI)の報酬ミックスの平均は46:29:26であり、総報酬に占める基本報酬の割合は昨年に続いて減少し、STIおよびLTIの変動報酬の割合が増加している。
STIにおけるKPIのうち、財務指標では営業利益、当期純利益等、売上高等の財務諸表項目ベースの指標が上位にきている。他方、LTIではROEやTSRが採用1位2位となり、効率性指標や企業価値を表す指標を採用する企業の増加傾向が特徴的である。また、将来財務指標を採用する企業割合はSTI、LTIともに37%台となり、2022年の約2割、2023年の約3割から着実な増加がみられる。
クローバック条項の導入開示割合にも増加傾向がみられ、LTIでは4割を超えた。
社外取締役への株式報酬の導入が開示されていた企業は10.2%、従業員へは19.1%であり、一部企業にとどまる。
自社の報酬制度の現在地を確認し、企業の将来あるべき姿・より望ましい姿と合わせて考えてみることは、パーパス実現や課題解決、そのための企業風土変革等のために進むべき道筋をクリアなものとする手段にもなり得る。
目次
1.序:日経225社の報酬調査について
日経225社の報酬データを起点に報酬の在り方を考える
HRGLでは、我が国におけるコーポレートガバナンス改革の流れを踏まえ、上場企業が今後の役員報酬制度の設計や情報開示の内容を検討するための視座となり得るものとして、毎年日経225構成企業群(以下「日経225社」)の有価証券報告書に記載されている経営者報酬関連の記載情報に関する調査を継続的に行っています。
2024年は経営者報酬制度に関する大幅な法改正などは見られなかったものの、インサイダー取引規制の改正および解釈の見直しの動き(①有価証券の取引等の規制に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令における株式報酬に関する「重要事実」からの除外基準の変更1 や②「インサイダー取引規制に関するQ&A」における解釈の見直し)などによる株式報酬の機動的な運用を企図した改正や解釈の見直しが行われました。また、従業員や子会社役職員(以下、「従業員等」という)に対する株式報酬の無償交付に関し、内閣府が2024年3月に開催した第6回スタートアップ・投資ワーキンググループの議論などを経て、将来的な会社法の見直しにより自社株式を無償交付できる対象を従業員等にも拡大する方針を政府が打ち出すといった動きが見られました。
このような制度的な議論が足元で進むなか、日経225社の報酬制度に直近の調査においてどのような特徴や過去の調査からの変化が見られたのか、以下①ピアグループの開示状況、②報酬ミックスの構成、③STI・LTIにおけるKPIの設定状況、④クローバック条項、⑤社外取締役・従業員への株式交付の導入開示状況に関する調査結果について述べていきたいと思います。
なお、本調査は例年、有価証券報告書への記載が義務付けられている対象事業年度の経営者報酬について言及されている部分を集計対象とし、有価証券報告書内での記載に限定して調査を行っています。なお、日経 225 社について、項目によっては 3 年間における経年分析を行っていますが、「複数年度にまたがって存在する企業に限定する」といった母集団の絞り込みは実施していない旨あらかじめお伝えしておきます。
2.ピアグループの開示状況
ピアグループの開示は微増
報酬水準を検討する際の一般的な方法として、比較対象企業群をピアグループに選定し、当該グループ各社の報酬水準の中で、自社のあるべき報酬ポジション・報酬水準を検討する方法があげられます。決定内容とあわせてピアグループおよびその選定理由を示すことは、報酬水準の妥当性や客観性を担保して自社の報酬戦略をステークホルダーに示すとともに、自社の将来の成長性などに関する企業間の比較可能性を高めることにも繋がります。
2024年において、ピアグループの定義を開示している企業は41.8%でした(図表1)。開示企業割合は少しずつ増加していますが、未だ半数以上の企業では開示がなく道半ばであることがうかがえます。
図表1
ピアグループの開示割合とその内訳

図表2
ピアグループの内訳

注:「同規模」「同業種」は国内企業
出典:各社公表資料よりHRGL作成
また、ピアグループとしてどのような企業を設定しているかについての内訳では、同規模・同業種の国内企業を比較対象企業群とする企業が最も多く43.6%、同規模または同業種のいずれかの国内企業を対象とする企業がそれぞれ14.9%、18.1%でした(図表2)。約77%の企業が国内企業を対象とする一方で、国内企業に加え海外企業もピアグループに選定する企業は13.8%存在しました。
3.報酬ミックスの構成
変動報酬割合は引き続き増加傾向
固定報酬と変動報酬(基本報酬と短期インセンティブ(STI)・中長期インセンティブ(LTI))の構成割合を表す報酬ミックスは、ペイ・フォー・パフォーマンス(業績に応じた報酬の支払い)をどのように実現するか、業績目標の達成に向けて経営陣がどの程度コミットしているかの観点から、経営者報酬制度の枢要となる項目であると考えます。ここでは報酬ミックスの開示状況に加え、開示企業における平均的な報酬ミックスについて集計しました。
報酬ミックスを開示する企業の割合は81.3%と2023年から横ばいでした(図表3)。そのうち基本報酬、STI、LTIの3つの基準割合を記載している企業を対象に報酬ミックスの平均値を算出したところ、基本報酬:STI:LTI=46:29:26となり、2023年に引き続き、STIとLTIの合計の変動報酬割合は50%を超えました。また、基本報酬の割合は減少し、変動報酬の割合はSTI、LTIともに増加する傾向は続いています(図表4)。
図表3
報酬ミックスの開示状況

図表4
報酬ミックスの平均

出典:各社公表資料よりHRGL作成
4.STI・LTIにおけるKPIの設定状況
4-1 財務指標の採用状況
次に、変動報酬のSTIとLTIの報酬額を決める評価基準となるKPIの調査結果を紹介します。まず、財務指標の採用状況についてみていきます。STIでは過年度の調査と同様に営業利益や当期純利益、売上高といった損益計算書項目をそのまま用いるかそれらの利益率をKPIとして設定する企業が多い結果となりました(図表5)。他方、LTIでは利益水準などがそのまま用いられるケースも多いものの、利益を資本との対比でみるROEや、株価といった財務諸表項目以外の要素を取り込んだTSRの採用件数が伸びていました(図表6)。また、上位5種類には入っていませんが、ROEと同じ効率性を表す指標のROICも2024年の採用件数20件と2022年11件から約1.8倍に増えています。
このように、LTIのKPIでは収益性指標や企業価値を表す指標を採用する企業の増加傾向が特徴的です。
2023年3月に東京証券取引所(東証)が「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」という要請を出したことにより、各社、資本コストや資本収益性を意識した経営が求められています。さらに東証が2024年2月と11月に公表した「資本コストや株価を意識した経営」のポイントや事例では、ポイントの1つとして中長期的な企業価値向上のインセンティブとなる役員報酬制度の設計を挙げており、具体例としてTSRなどの投資者が重視する指標との連動性が示されていることなどからも、今後も収益性指標や企業価値を表す指標の採用は増加することが予想されます。
図表5
STIにおける財務指標のKPI採用件数

注:2024年の採用件数上位5種類が対象
出典:各社公表資料よりHRGL作成
図表6
LTIにおける財務指標のKPI採用件数

注:2024年の採用件数上位5種類が対象
出典:各社公表資料よりHRGL作成
4-2 将来財務指標の採用状況
財務指標の採用状況に続いて、将来財務指標の採用状況についてみていきます。まず、STI、LTIにおけるKPIのうち、将来財務指標が1つでも採用されている企業の割合はそれぞれ37.8%、37.3%でした。過去の採用企業割合を確認すると、2022年では約2割(STIで20.9%、LTIで17.3%)、2023年では約3割(STIで31.6%、LTIで30.2%)と、着実な増加傾向がみられます。2024年3月に公表されたサステナビリティ基準委員会(以下「SSBJ」という)の一般開示基準(案)2 では、サステナビリティ関連の指標が報酬方針に含まれているかなどの開示が求められており、今後、サステナビリティ戦略と連動した報酬戦略の開示がSSBJの浸透に伴って進むことが予想されます。
将来財務指標のなかでどのような指標が採用されているか、E、S、G、(単独項目に分けにくいものなどについて)ESG全領域、その他の5つの領域に分けて傾向を確認しました。
STIでは、S領域の指標を採用する企業が2023年から3.1pt増加し、最も多くなりました(図表7)。安全性関連や従業員満足度関連、ダイバーシティ&インクルーション関連の指標が多くの企業で採用されています。2023年の企業内容等の開示に関する内閣府令等の改正により、人的資本の指標と目標の開示が求められるようになりました。自社の人的資本に関する取組みを定量化する試みが進み、こうした指標をSTIのKPIに採用する企業が増加したことが推察されます。他方、LTIではE領域の指標を採用する企業が17.3%と、E、S、G全領域を横断する「ESG」に次いで2番目に多くなりました(図表8)。具体的な指標ではGHG排出量関連が39件と最も多く、これは2023年から11件増加していました。気候関連についてはSSBJの気候関連開示基準(案) 3において、シナリオ分析やGHG排出量の報告のほか気候関連の評価項目が役員報酬に組み込まれているか、組み込まれている場合、その割合の開示が求められており、今後さらに気候関連指標が変動報酬のKPIに採用されることが予想されます。
図表7
STIにおける将来財務指標の採用割合(領域別)

「その他」はE,S,Gいずれの領域にも該当しない将来財務指標
出典:各社公表資料よりHRGL作成
図表8
LTIにおける将来財務指標の採用割合(領域別)

「その他」はE,S,Gいずれの領域にも該当しない将来財務指標
出典:各社公表資料よりHRGL作成
4-3 将来財務指標のウェイト状況
財務・将来財務指標の採用状況の次に、STIまたはLTIのKPI全体における将来財務指標が占める割合(ウェイト)の状況をみてみます。まず、STIまたはLTIのKPIに将来財務指標を採用し、かつウェイトを開示しているスキーム数は、2023年の58件から2024年は75件に増加しました。KPIに将来財務指標を採用するだけでなく各指標が占める割合を開示する企業が少しずつ増加していることがわかります。
ウェイトの大きさをみると、STIでは2023年は「0%超10%以下」が9スキームで最多でしたが2024年は「10%超20%以下」が13スキームと最も多くなりました(図表9)。LTIにおいてもウェイトの開示企業数の増加に伴い多くのレンジで増加しており、特に「30%超40%以下」では4社増と比較的ウェイトが高いところで増加しました(図表10)。2023年と同様に、STIに比べ、LTIの方が将来財務指標のウェイトが大きいことがわかります。
先述のとおりSSBJによる気候関連指標のウェイトの開示要求だけでなく、EUにおけるサステナビリティ情報の開示基準であるESRS(欧州サステナビリティ報告基準)では、インセンティブ報酬において気候関連のみに関わらずサステナビリティ関連の指標が報酬方針に組み込まれているかに加えその割合も開示することが求められています。EU域内に子会社等を持ち一定の売上がある企業に適用される、EU域外企業向けの基準も先日草案4 が公表されましたが、インセンティブ報酬におけるサステナビリティ関連の指標に関する報酬方針やその割合の開示は、この草案でも同様に盛り込まれていました。今後、変動報酬のKPIに将来財務指標が含まれているか否かに加え、将来財務指標が含まれている場合はその割合の開示も求められてくることでしょう。
図表9
STIにおける将来財務指標のウェイトの状況

注2:役位によってウェイトが異なる場合、最高役位のウェイトで計算している
注3:最終的な報酬額の調整にあたり将来財務指標を活用しているスキームは分母から除いている
出典:各社公表資料よりHRGL作成
図表10
LTIにおける将来財務指標のウェイトの状況

注2:役位によってウェイトが異なる場合、最高役位のウェイトで計算している
注3:最終的な報酬額の調整にあたり将来財務指標を活用しているスキームは分母から除いている
出典:各社公表資料よりHRGL作成
5.クローバック条項
クローバック条項の導入開示は着実に増加、LTIで約4割
重大な法令・社内規則違反や財務情報の訂正、自社の評価・企業価値を著しく毀損させる行為に対し、報酬の全部または一部の返還を求める規定をクローバック条項といいます。2022年10月に米国証券取引委員会(SEC)にて上場規則におけるクローバックの新規則が採択され、2023年10月から効力を発しました。当該規則は米国企業に限らず、米国市場に上場する日本企業にも適用されます。
同条項の導入は、株主・投資家に対する経営責任の明確化だけでなく、任期や業績評価期間等に関わらず、企業の将来を見据えた中長期的な視野での経営を促すことにもつながると考えます。
2024年において、クローバック条項の導入開示割合は、STIでは19.6%、LTIでは41.8%と、それぞれ2023年から6.7pt、8.9pt上昇しました(図表11、12)。開示企業のなかにはSECの新規則に準拠したクローバックポリシーの開示を行う企業も数社みられました。
日本企業のクローバック条項の導入状況は開示数ベースでは比較的順調に増加しているようにみえますが、上場規則がある米国のみならず、英国やドイツでも時価総額上位のほぼ全ての企業でSTI、LTIともにクローバック条項が導入されており、欧米企業と比べるとまだ低水準といえるでしょう5 。
日本企業でも総報酬に占める変動報酬の割合が上昇しているなか、経営陣の過度なリスクテイクを抑制しながら長期目線での企業価値向上を促すためにはクローバック条項の導入の検討も進めていく必要があると考えます。
図表11
STI クローバック条項の導入開示状況

図表12
LTI クローバック条項の導入開示状況

6.社外取締役・従業員への株式交付の導入開示状況
社外取締役へは約1割、従業員への約2割と株式交付はまだ限定的
最後に自社株式交付の対象者の拡大という観点から、社外取締役や従業員への株式公布の導入開示状況をみます。社外取締役への株式交付については、2022年7月に改訂されたコーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針(CGSガイドライン)において、「取締役会の一員として当事者意識を持たせ、かつ、インセンティブを付与する観点から、固定報酬に加えて、業績によって付与数が変動しない自社株報酬など、インセンティブ報酬を付与することも考えられる。」と記されています。従業員についても同様にCGSガイドラインに幹部候補に対する動機付けや人的資本投資の拡大の観点で言及されています。また、序章に記載したように自社株式を無償交付できる対象を従業員等にも拡大できるようにするため、会社法改正を見据えてスタートアップ・投資ワーキンググループをはじめ様々な会議で議論されているところです 6。
2024年において、日経225社で社外取締役への株式交付の導入が開示されていた企業は10.2%、また、従業員への株式交付の導入が開示されていた企業は19.1%でした(図表13、14)。いずれも微増にとどまっておりますが、HRGLが実施した2024年コーポレートガバナンス・サーベイでは「導入を検討中」と回答した企業は社外取締役で10.9%、従業員で18.0%となっており7 、今後もこの動向は注目点になるものと考えます。
図表13
社外取締役への株式報酬の導入開示状況

図表14
従業員への株式報酬の導入開示状況

7.まとめ
報酬をパーパスの実現や企業風土変革のための手立てとして捉えてみる
以上見てきたように、(海外企業を含む)ベンチマーク企業なども意識したピアグループの設定や報酬の中に占める業績連動割合の高まり、将来財務指標の採用、適切なリスクテイクのためのクローバック条項の導入など、日経225社の報酬体系については過去多くの企業に見られた固定的な報酬体系から年々着実な変化を見せています。
前述のように我が国の企業の代表的な課題としては、東証による「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応等」が指摘されているところは広く認知されており、想起される方も多いことと思います。
こうした資本効率を巡る課題など、企業・経営者を取り巻く諸課題を解決する手立ての一つとして、各社の企業理念や経営戦略の実行・マテリアリティ(重要課題)の解決に向けた取組みを経営者の報酬体系とリンクさせ、さらには従業員株式報酬制度などを通じて従業員へも波及させる仕組みを含んだ報酬制度設計が加速することは日本企業が更なる成長を果たす上でのエンジンとなりうるものと思料します。
我が国のガバナンスの課題としてたびたび話題となる「攻めの経営」へと舵を切るために経営者・経営陣がリスクテイクを行いその対価に応じた報酬を得ることは、株主をはじめとしたステークホルダー全体にとってベネフィットを最大化することにも繋がり得ます。
2024年末に出席したカンファレンスでは、機関投資家ほか市場関係者から「ガバナンスコード制定から約10年が経過し企業との対話の時間は十分持ってきた」「企業間のパフォーマンス比較においてもTOPIXなどを用いた国内企業間の比較ではなくグローバル企業との比較を行うようになってきている」「コンサルティング会社が支援に入って企業価値を上げる取組みを行うにも最低でも1-2年の期間を要す場合もあるなか、企業価値や株価に関連づけられた株主提案が総会8週間前に出された時点では手遅れのケースもあり、資本市場の目線を平時から意識しておくことが重要である」などの声が聞かれました。これらの声を踏まえると経営陣の経営のかじ取りと、自らの報酬水準やその背景・合理性を含む企業経営に対する説明責任に対する市場の要求水準は2025年も高いことと思われます。
新たな年を迎えこのタイミングで新年度が始まる企業の皆さまや、3月決算企業において来年度以降を見据えた取組みの準備を進めていくなかにあると思われる皆さまも多いなか、自社の報酬制度の現在地を確認し企業の将来あるべき姿・より望ましい姿と合わせて考えてみることは、パーパスの実現や課題解決、そのための企業風土変革等のために進むべき道筋をクリアなものとする手段にもなり得ると考えます。
なお、本調査に関する内容は旬刊商事法務の2024年12月25日号に「開示から見る日本の経営者報酬制度の現在地と今後の展望」として寄稿させて頂いており、本メールマガジンと併せてご一読頂けましたら幸いです。
参考文献
- 1 上場会社等の業務執行決定機関による株式報酬としての株式発行等に係る決定がインサイダー取引規制上の「重要事実」から除外される基準について、従来「払込金額の総額が1億円未満であると見込まれること」であったところ、『「希薄化率が1%未満と見込まれること」「価額(時価)の総額が1億円未満と見込まれること」のいずれかに該当すること』へ改正される予定。令和7年4月1日(火)から施行・適用予定。(金融庁ウェブサイト:https://www.fsa.go.jp/news/r6/shouken/20240927/20240927.html#bessi3/)
- 2 サステナビリティ基準委員会「サステナビリティ開示テーマ別基準公開草案第1号『一般開示基準(案)』」(2024年3月29日)
- 3 サステナビリティ基準委員会「サステナビリティ開示テーマ別基準公開草案第2号『気候関連開示基準(案)』」(2024年3月29日)
- 4 EFRAG,” ESRS for Non-EU Groups NESRS 2 GENERAL DISCLOSURES”(2024年12月3日)
- 5 以下の企業を対象としてHRGLが実施した調査結果による。米国:S&P500のうち2023年1月から2023年12月に決算期を迎え、報酬ターゲットの構成比率が開示されている2023年1月末時点での時価総額上位100社。英国:FTSE350のうち2023年1月から2023年12月に決算期を迎え、報酬ターゲットの構成比率が開示されている2023年1月末時点での時価総額上位100社。ドイツ:DAX40とHDAX100のうち2023年1月から2023年12月に決算期を迎え、報酬ターゲット構成比率が開示されている2023年1月末時点での時価総額上位40社。
- 6 内閣府「スタートアップ・投資ワーキンググループ」のほか、商事法務研究会「会社法制研究会」や経済産業省「『稼ぐ力』の強化に向けたコーポレートガバナンス研究会」で議論が行われている。
- 7 HRGLが実施した2022年~2024年のコーポレートガバナンス・サーベイ(旧指名・報酬ガバナンスサーベイ)に参加した企業のうち、3年継続で参加した企業266社を対象に集計した。
Opinion Leaderオピニオン・リーダー
HRガバナンス・リーダーズ株式会社
シニアコンサルタント
小沢 潤子 Junko Ozawa

HRガバナンス・リーダーズ株式会社
コンサルタント
大杉 陽 Akira Osugi
